花守信吉

花守信吉（はなもり しんきち）

花守信吉は、1875年または1876年に生まれた樺太アイヌの男性で、南極探検に参加したことで知られています。彼は南樺太敷香にある多来加の乙名の子孫であり、アイヌ名は「シㇱラトカ（Sisratoka）」です。

生い立ちと文化的貢献

花守はアイヌの伝承や文化に深い理解を持っており、ポーランドの民族学者であるブロニスワフ・ピウスツキの研究にも協力しました。彼の語ったアイヌの伝承文学は、ピウスツキの著書に紹介されています。また、アイヌ語辞典の作成にも関与し、彼の声を録音した音源も残されています。

彼の名前は、日露戦争後に大谷本願寺の法主が樺太に訪れた際に名付けられたとされ、その際の書名に関しては異なる表記も存在します。文献によると、「花守」の表記が主流で、「信吉」とするのが一般的ですが、「新吉」と記載されているものもあります。

南極探検への参加

1910年11月29日、花守は白瀬矗が指揮する南極探検隊のメンバーとして、船「開南丸」に乗り込み、東京の芝浦埠頭を出発しました。南極探検隊には、彼が集めた10頭のカラフト犬も同行しました。1911年2月、彼らはニュージーランドに到着し、南極大陸への上陸を試みるものの、一度はその計画を断念します。しかし、同年11月には再度南極を目指し、1912年1月16日に上陸することができました。

探検の過程では、南緯80度5分・西経165度37分の地点に「大和雪原」と名付けることにも成功しました。南極大陸を去る際には、何ヶ月間もの艱難辛苦を経て東京に帰還し、探検の成果を伝えました。

戦後の活動と記念碑

南極から帰った後の花守の具体的な活動については詳細が不明ですが、彼の事績は後世に語り継がれています。2004年には、樺太のレスノエにおいて、山辺安之助と共に「白瀬南極探検隊慰霊碑」が建立され、彼の功績が記念されています。この慰霊碑は、花守がアイヌ文化の代表とし、その業績を称えるものとなっています。

現在の評価

花守信吉に関する情報や彼が関与した南極探検のエピソードは、今でもインターネット上で見ることができ、彼の名称はアイヌ文化と南極探検の交わる重要なポイントを示しています。彼の足跡は、アイヌ民族の誇りと文化的な価値を再認識させるきっかけとなっており、その影響は現在も続いています。

彼の業績や人生は、樺太アイヌの歴史や文化を学ぶ上での貴重な資料として、多くの研究者や人々にとって重要なテーマとなっています。

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