花岡菊子

花岡菊子：昭和を彩った名脇役女優の生涯

花岡菊子（はなおか きくこ）は、1910年9月11日に静岡県静岡市で生まれ、1984年6月12日に亡くなった日本の女優です。本名は松崎幾代。1920年代末から松竹蒲田撮影所で喜劇女優として活躍し、戦後は新[[東宝]]を中心に脇役として多くの映画に出演しました。夫は同じく俳優の結城一朗。

松竹蒲田時代：喜劇女優としての出発

静岡精華高等女学校を卒業後、1928年に松竹蒲田撮影所に入社。同年、佐々木恒次郎監督の『飛行機花婿』で映画デビューを果たしました。斎藤達雄とのコンビで、佐々木監督の『珍客往来』や清水宏監督の『村の王者』など、数々のコメディ映画で主演を務め、人気を博しました。

1929年には、入社からわずか1年で準幹部に昇進。清水宏監督の『陽気な唄』では、後に夫となる結城一朗と初めて共演しました。1930年には、西尾佳雄監督の『スポーツ精神』、佐々木恒次郎監督の『黒百合の花』、清水宏監督の『紅唇罪あり』などで結城と共演し、恋人役などを演じました。

1933年、清水宏監督の『旅寝の夢』を最後に松竹下加茂撮影所へ異動し、時代劇に転向しました。

結婚、そして戦後の新[[東宝]]へ

1936年9月、花岡菊子は6歳年上の俳優、結城一朗と結婚。二人の間には2男1女が誕生しました。1941年には夫婦で松竹を退社。

1年ほどのブランクを経て、東宝映画に移籍し、1943年に滝沢英輔監督の『伊那の勘太郎』に出演。戦後も東宝に所属しましたが、1947年に東宝争議から生まれた新[[東宝]]映画製作所（後の新[[東宝]]）へ参加しました。

新[[東宝]]では、萩原遼監督の『大江戸の鬼』や斎藤寅次郎監督の『見たり聞いたりためしたり』などに出演し、同社が倒産するまで脇役俳優として活躍を続けました。その後は、『特別機動捜査隊』など、テレビ映画にも出演しました。

晩年：夫婦での映画共演、そして死

1979年、花岡菊子は満69歳で、夫の結城一朗と共にマツダ映画社製作の『地獄の蟲』に出演。戦前以来となる夫婦共演を果たしました。

1984年6月12日、花岡菊子は73歳で死去。夫の結城一朗も1988年9月15日に84歳で亡くなりました。

フィルモグラフィ：数々の名作に出演

花岡菊子は、数多くの映画に出演しました。以下に主な作品を年代順に紹介します。

松竹蒲田撮影所時代
『飛行機花婿』（1928年）
『村の王者』（1929年）
『ちよつと出ました三角野郎』（1930年）
『麗人』（1930年）
『餓鬼大将』（1931年）
『金色夜叉』（1932年）
『青春の夢いまいづこ』（1932年）
『生さぬ仲』（1932年）
『恋の花咲く 伊豆の踊子』（1933年）
松竹下加茂撮影所時代
『雪之丞変化 第一篇』（1935年）
『月夜鴉』（1939年）
『殘菊物語』（1939年）
東宝時代
『伊那の勘太郎』（1943年）
『愉しき哉人生』（1944年）
『芝居道』（1944年）
新[[東宝]]時代
『大江戸の鬼』（1947年）
『見たり聞いたりためしたり』（1947年）
『銀座三四郎』（1950年）
『群盗南蛮船 ぎやまんの宿』（1950年）
『東海道四谷怪談』（1959年）

花岡菊子の出演作品は、サイレント映画からトーキー、時代劇から現代劇まで多岐にわたり、彼女の演技の幅広さを示しています。特に、清水宏監督作品や新[[東宝]]での脇役としての存在感は、多くの映画ファンに記憶されています。

花岡菊子は、昭和の映画史を彩った名脇役として、その功績は決して忘れられることはないでしょう。

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