花見朔巳

花見朔巳（はなみ さくみ）

花見朔巳（1881年9月23日 - 1946年4月27日）は、日本の歴史学者であり、東京帝国大学史料編纂官、大学講師などを歴任し、特に安土桃山史研究の権威として知られています。歴史地理学会の幹事も務めました。

生涯

現在の福島県喜多方市で地主の次男として生まれました。会津中学では、後に名を成す植村恒三郎や佐藤美千代（陸軍少将）と机を並べました。1903年に第二高等学校を卒業後、1906年に東京帝国大学文科大学を卒業しました。

学業を終えた花見は、開成中学の教員を経て、名古屋市史編纂員として『名古屋市史』の政治編と学芸編の編纂に携わりました。また、名古屋電気学校でも教鞭を執りました。1915年に『名古屋市史』の編纂が完了すると、明治中学校に勤務。その後、『越佐史料』の編纂主任を務め、1922年からは東京帝国大学史料編纂所に勤務、1925年に史料編纂官となりました。横浜市や若松市の市史編纂にも関わったほか、多数の著作を刊行し、『歴史地理』、『中央史壇』、『歴史教育』などの学術雑誌に論文を発表しました。1942年（昭和17年）には勅任官待遇を受けましたが、同年4月に退官しました。

講師として教鞭を執った学校は、早稲田大学、日本大学、東京外国語学校、上智大学など多岐にわたりました。聖心女子学院での講義中に倒れ、そのまま同校で生涯を閉じました。会津会会員でもありました。

研究内容

花見朔巳は、会津、名古屋、そして特に安土桃山時代の歴史研究に力を注ぎました。史料編纂官として、また数々の大学での講師として、その知識と情熱を次世代に伝えました。彼の研究は、日本の近世史研究において重要な貢献を果たしています。

家族

海軍中佐で天霧駆逐艦長としてJ.F.ケネディー海軍中尉が指揮する魚雷艇を撃沈し、戦後に塩川町長を務めた花見弘平、陸軍少佐の花見侃（第36師団参謀、陸士47期、陸大57期）は甥にあたります。

著書

花見朔巳は、数多くの著作を世に残しました。以下に主なものを挙げます。

単著

『会津』会津研究会
『日本近世史説』日本学術普及会
『日本武将伝』日本放送協会
『日本文化史 第9巻』大鐙閣
『武士道と日本民族武士道』南光書院
『鎌倉時代概観』日本放送出版協会
『神武天皇御聖業』神武聖徳奉讃会
『織田豊臣二氏の統一事業』岩波書店
『室町時代史』四海書房

共著

『郷土史研究 第一輯』雄山閣
『郷土史研究 第七輯』雄山閣

編纂、校訂

『男爵山川先生伝』山川男爵記念会
『大日本地誌大系 第30巻』雄山閣
『大日本地誌大系 第32巻』雄山閣
『大日本地誌大系 第33巻』雄山閣
『大日本地誌大系 第34巻』雄山閣
『新編会津風土記』

参考文献

小島一男『会津人物事典 文人編』歴史春秋社
帝国秘密探偵社『大衆人事録 東京編』（第13版）、1939年
日本歴史地理學會（編）「花見朔巳･相田二郎両氏追悼特輯」『歴史地理』第88巻第4号、吉川弘文館、1958年

外部リンク

コトバンク 越佐史料
コトバンク 川上多助

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