芳徳寺

芳徳寺（ほうとくじ）

芳徳寺は奈良県奈良市柳生下町に位置する臨済宗大徳寺派の寺院であり、その山号は神護山です。本寺の本尊は釈迦如来で、時に芳徳禅寺とも呼ばれています。この寺は柳生藩の藩主である柳生氏の菩提寺として知られており、歴史的にも重要な役割を果たしています。

寺院の概要

芳徳寺は、かつて柳生城があった地区を見渡すことができる高台に立地しています。この場所は霊源坂と呼ばれる坂を上ることでアクセスでき、坂の途中には正木坂剣禅道場があります。また、隣接して柳生藩の資料を展示する史料室も整備されています。

柳生一族の墓地は元々は中宮寺に存在していましたが、芳徳寺の創建に伴い、改葬されました。現在は、芳徳寺の裏手に柳生藩主・柳生氏一族の墓石が80基以上並ぶ光景が見られ、特に秋の紅葉シーズンには多くの観光客が訪れます。この墓地は紅葉名所としても評価されています。

霊源坂を登ると、橋の名は古楓橋となっており、周辺の小高い台地は山王台（清風台）と並び、柳生十景の一部として詠まれています。また、柳生宗厳（石舟斎）の居住地も霊源坂の中腹に存在していたと言われています。

歴史的背景

芳徳寺は寛永15年（1638年）に、柳生藩主の柳生宗矩によって開基されており、彼と親しい僧侶の沢庵宗彭が開山として関わりました。宗矩は自身の父、石舟斎宗厳の菩提を弔う目的でこの寺を建立したとされており、最初の住職には宗矩の末子である列堂義仙が任命されました。

1647年には将軍家光の内意により、宗矩が所有していた土地の一部が寺領として分与されるなど、当時から寺は重要な存在でした。しかし1711年の火災で全焼し、1714年には再建されました。

明治時代の廃藩で荒廃が進み、寺は無住となる時期もありましたが、1922年には柳生家の末裔から寄付を受け、本堂が再建されます。その後、昭和初期には橋本定芳が住職に就任し、寺の再興と柳生新陰流の普及に尽力しました。彼はまた、知的障害児の教育支援など新たな事業にも取り組みました。

文化財の収蔵

本堂内には、釈迦三尊像をはじめ、木造の沢庵和尚坐像や木造但馬守宗矩坐像が祀られています。特に但馬守宗矩坐像は1651年に彫られたもので、宗矩の7回忌にあたる重要な文化財です。また、沢庵和尚坐像も1657年に造立され、火災を免れた貴重な作品です。その他にも、寺宝として柳生氏に関する多くの資料が残されており、史料館にて公開されています。

主要な文化財

• - 本堂: 江戸時代に建立され、市指定文化財として平成4年に指定。
• - 柳生家墓所: 室町時代から江戸時代にかけての文化財で、市指定文化財（史跡）としても認識されています。
• - 正木坂剣禅道場: 1963年に設立され、剣道と座禅を融合した道場として現在も利用されています。

アクセス方法

芳徳寺へのアクセスは、JR奈良駅または近鉄奈良駅から柳生・邑地中村行のバスに乗り、約50分で「柳生」で下車後、徒歩15分です。

周辺には、天石立神社や柳生城、旧柳生藩家老屋敷といった観光スポットも点在しています。歴史と文化が息づく芳徳寺は、訪れる人々に深い感動を与える場所です。

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