芳賀宜道

芳賀宜道（はが ぎどう）：幕末を駆け抜けた靖兵隊隊長

芳賀宜道は、幕末に活躍した旗本であり、靖兵隊の隊長としてその名を歴史に刻みました。本名を敬太郎といい、その生涯は激動の時代を反映したものでした。

生い立ちと家督相続

芳賀宜道の正確な生年月日は明らかではありません。支配勘定の芳賀市三郎の子として生まれ、天保11年（1840年）に家督を相続しました。その後、小普請組となり、屋敷替えも経験しています。

しかし、安政元年（1854年）には、身持ちの問題から養子の録之助に家督を譲り、自身は長屋住まいとなります。その後、松前藩の儒学者である市川氏の養子となり、市川宇八郎と名乗りました。

剣の腕と武者修行

芳賀宜道は、神道無念流の剣客である百合元昇三の門下生でした。同じ門下には、後に新選組で活躍する永倉新八がおり、永倉と共に武者修行に出向いたという逸話も残っています。下野国佐野では、堀田家臣の門人を打ち破り、大沢本人をも打ち負かしたと伝えられています。

元治元年（1864年）頃には、富士重本（亦八郎）の妹と結婚しています。

攘夷論と松前藩からの退勤

芳賀宜道は激しい攘夷論を唱えていましたが、意見の対立から慶応3年（1867年）に病気を理由に松前藩を退勤しました。その後、同志を使って富士重本を襲撃させるなど、過激な行動に出ることもありました。

靖兵隊結成と戊辰戦争

慶応4年（1868年）、芳賀宜道は新選組を脱退した永倉新八と再会し、旧幕府側の部隊結成に賛同。自身を隊長、永倉と原田左之助を副長とする靖兵隊を結成しました。下野国藤原で挙兵しましたが、戦況は不利であり、米沢藩に潜伏。その後、東京に戻りました。

悲劇的な最期

明治2年（1869年）、芳賀宜道は深川冬木町で、かつて襲撃した富士重本と再会します。戊辰戦争に関する口論の末、揉み合いとなり、富士側の人物に討ち取られました。当時、芳賀は飲酒していたと伝えられています。

永倉新八は、芳賀の妻が仇討ちを依頼したものの、果たせなかったと記しています。しかし、富士重本は明治30年（1897年）まで存命していました。

人物像

芳賀宜道は、身長が六尺を超える大柄な人物で、腕力に優れていました。剣道や柔道にも長けており、相撲では誰にも負けなかったと言われています。永倉新八とは互いに「天下の英雄」を自称していたと伝えられています。

また、武士としての矜持を強く持っており、雲井龍雄から上杉藩への仕官を勧められた際も、「二君に仕えず」という信念から断っています。

芳賀宜道は、その激しい性格と行動から、賛否両論ある人物かもしれません。しかし、幕末という激動の時代を、自らの信念に従って生きた人物として、記憶されるべきでしょう。

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