芳野監

芳野監（よしののげん）について

芳野監は、8世紀の日本に設立された特有の地方行政区分であり、現在の奈良県南部に位置する吉野地方を対象としています。この監は当時の大和国における重要な行政機関として機能し、その設立の背景には地域の統治や管理が密接に関連していました。

沿革

芳野監は、大和国の吉野郡から分立して設置されました。『律書残篇』には芳野監に関する記録が残されており、そこでは「郡二、郷三、里九」と記されています。大和国の総郡数が14であることからも、吉野郡が二つに分かれたことが伺えます。設置時期についての明確な記録は残っていませんが、『続日本紀』の711年の記述において「大倭国芳野郡」という名が登場するため、芳野監はその時期、あるいはそれに近い時期に設立されたと考えられています。

芳野監が史料上に登場するのは、732年の『続日本紀』の記載が初めてで、その後733年に「芳野監」が言及されることにより、その役割や存在が明確になります。芳野監は国としてではなく「監」という機関の形で存在したことから、この地域にある吉野宮を管理する機関であったと推測されています。

吉野は詩や歌に詠まれる場所でもあり、万葉集では「見れど飽かぬ吉野」や「雲居にそ遠くありける」といった表現が見られ、古くから大和国とは別の独自の土地として意識されていました。このような文化的背景も、芳野監の設立に影響を与えたと考えられます。

芳野監は天平10年（738年）から嘉祥元年（848年）まで存続しましたが、廃止時期は和泉監が廃止された天平12年（740年）頃であると推測されています。芳野監の存在が途絶えることにより、地方行政の形態や役割も変化を余儀なくされました。

関連項目

• - 大和国
• - 監
• - 令制国一覧

芳野監の存在は、地域の歴史や文化の形成に大きな影響を及ぼしました。特に吉野地方の独自性や、その後の中央集権的な政策にどのように関与していったのかを知ることは、古代日本の政治や文化を理解する上で重要な要素です。

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