芷江作戦

芷江作戦（しこうさくせん）

芷江作戦は、日中戦争中の1945年4月から6月にかけて行われた日本軍の作戦であり、正式には二十号作戦と呼ばれています。この作戦は湖南省西部の芷江に対する日本軍の進攻を目的としており、中国側では湘西会戦や雪峰山戦役とも称されていますが、結果として日本軍はその目標を達成できず、敗退したことが特徴的です。これは日中戦争において、日本軍が行った最後の大規模攻勢となりました。

背景

1944年に実施された大陸打通作戦では日本軍は一時的な勝利を収めましたが、同時期に太平洋戦線ではアメリカ軍が侵攻を進めていました。この状況を受けて、日本の大本営は中国戦線においても重要な戦力の再配置を考慮し始めました。支那派遣軍の岡村寧次大将は、重慶の攻略を目指す作戦を計画し、そのための前段階として芷江の攻略を位置づけました。1945年初頭、岡村大将は芷江作戦を発令し、敵飛行場の破壊を通じて制空権を狙うことを目的としていました。

当時、日本軍はさまざまな方針について議論し合い、岡村大将は予定していた四川作戦の実行を完全には諦めていませんでした。しかし、4月には沖縄戦も始まり、他の戦線への兵力再分配が決定されたため、四川作戦は中止されました。その後も岡村大将は、アメリカ軍の本土侵攻を警戒するため、中国戦線での攻勢を継続する意義があると考えました。

日本軍の作戦展開

本作戦には第20軍が担当し、その指揮官は坂西一良中将でした。日本軍の作戦計画には、第116師団を中心に複数の部隊が参加し、三方から芷江に向けて進攻する意図がありました。初期段階では順調に前進していましたが、中国側の反撃が激化し、次第に進軍が困難になりました。

中国軍はアメリカから供給された新しい装備を持っており、またアメリカ陸軍航空軍からの支援を受けていました。さらに、数多くの中国軍部隊が増援にやってきたため、日本軍の攻撃を受ける態勢が整いました。会戦が進む中、日本側は制空権を失い、昼間の行動にも困難を伴う状況となりました。兵站も空襲によって途絶え、戦局は厳しいものとなりました。

日本側は5月4日、戦線の一時後退が必要であるとの判断を下し、連絡が不十分なまま各部隊が無秩序な後退を開始しました。その中で特に一部の部隊が敵の奇襲を受け、壊滅的な損害を被りました。

5月9日、日本軍の総指揮を執る岡村大将は作戦中止を命じ、その後日本軍は撤退を開始しました。この時、連合国軍による追撃が始まり、多くの部隊が包囲を受ける事態に陥りましたが、適切なタイミングで撤退が指示されたため、大部分の日本軍は無事に出撃地点まで戻ることができました。

結果

芷江作戦の結果、日本軍は戦死695人、戦傷1,181人、戦病24,640人の損害を被りました。ここでの敗北を受けて、日本軍はその後の中国戦線で攻勢を行うことはなく、芷江作戦が最終的な攻勢となりました。この作戦は、日本軍が敗北するに至った重要な戦闘の一つとして記憶されています。

日本の保守派の中には、「日中戦争では日本軍が優位であったが、最終的に敗北してしまった」とする見方も存在しています。

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