芸北国際スキー場

広島県北広島町中祖に位置する芸北国際スキー場は、かつて多くのスキーヤーやスノーボーダーに親しまれたウィンタースポーツ施設です。西日本有数の規模を誇るゲレンデでしたが、近年は暖冬少雪の影響が深刻化。必要な積雪量を確保することが難しくなり、2020年初旬を最後に営業を中止しています。厳しい自然条件のため、現在はスキー場としての活動は停止状態にあります。

歴史の歩み

芸北国際スキー場の歴史は、1972年（昭和47年）にさかのぼります。この年、乳製品メーカーとして知られるチチヤスのレジャー事業部門として設立され、営業を開始しました。以来、四半世紀以上にわたり、西日本における主要なスキー場の一つとして地位を確立します。

1997年（平成9年）から1998年のシーズンにかけては、大規模なリニューアルが実施されました。国際エリアとおーひらエリアにエクスプレスリフトが新設されたほか、おーひらコースには人工造雪システム（ICS）が導入され、雪不足に対応する体制が強化されました。

しかし、経営環境の変化により、2003年（平成15年）には事業不振から売却されることとなります。翌2004年（平成16年）にはパインリッジリゾート株式会社が施設を取得し、「パインリッジリゾーツ芸北」として新たなスタートを切りました。ところが、このパインリッジも経営が悪化し、2008年（平成20年）には経営破綻（2009年に倒産）。運営はスノーマジックエンターテイメントジャパン株式会社へと引き継がれ、名称も再び「芸北国際スキー場」に戻されました。

その後、2012年（平成24年）からは株式会社マックアースリゾートが運営を担います。しかし、近年の全国的な暖冬傾向は芸北国際スキー場にも影響を及ぼします。2020年（令和2年）6月の時点では、スキー場の公式サイトが閲覧できなくなり、運営元であるマックアースの施設一覧からも削除されていることが確認されました。そして同年12月12日には、そのシーズンの営業を見合わせることが報道により明らかになります。これは、株式会社マックアースの子会社である株式会社芸北が、暖冬少雪による営業リスクが高いと判断したためでした。

スキー場としての活動は休止しているものの、ゲレンデを活用したイベントも行われています。例えば、2022年9月25日には、全日本クロスカントリー選手権（JNCC）が主催するオフロードバイクの大会が開催され、県内外から約280名のライダーが集まりました。

施設とコースの魅力

芸北国際スキー場は、国際エリア、カケズエリア、おーひらエリアという3つの広大なエリアで構成されていました。それぞれに特徴があり、多様なニーズに対応していました。

コースは、上級者向けの国際ジャイアントやカケズユートピア、中級者向けのおーひら各コース、そして初心者向けの国際センター、国際初心者、カケズビギナーといった多彩なラインナップを揃えていました。また、ウィンタースポーツとしてのスキー・スノーボードだけでなく、1周5kmの全日本スキー連盟公認クロスカントリーコースも設けられており、ノルディック競技の愛好者にも利用されていました。

リフトは合計5本が稼働していました。国際エリアには4人乗りの国際エクスプレスと3人乗りの国際トリプルA・B、おーひらエリアには2人乗りのおーひら第1リフトと、かつて日本で唯一だった6人乗りのおーひらエクスプレスが設置されていました（後に新潟県の石打丸山スキー場に混載リフトが設置され、日本唯一ではなくなりました）。特に6人乗りリフトは一度に多くの人を運ぶことができ、輸送力が高い点で注目されました。

駐車場も充実しており、2018-2019シーズン時点では約2,500台の収容が可能で、普通車の駐車料金は1,000円でした。

アクセス方法

芸北国際スキー場へのアクセスは、公共交通機関と自家用車が利用可能でした。

バスを利用する場合、広島駅新幹線口から約2時間で到着することができました。

自家用車の場合、中国自動車道の戸河内インターチェンジ、加計スマートインターチェンジ、千代田インターチェンジのいずれからもアクセスが可能で、いずれも約30キロメートル、所要時間はおおよそ40分でした。

現在、スキー場としての営業は休止されていますが、かつてこの地で多くの人々が雪と親しみ、楽しい時間を過ごしました。今後の動向が注目されます。

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