モウセンゴケ

モウセンゴケ（Drosera rotundifolia）とは

モウセンゴケは、モウセンゴケ科モウセンゴケ属に分類される多年草の食虫植物です。学名 Drosera rotundifolia は、「円い葉」を意味し、別名マルバモウセンゴケとも呼ばれます。コケという名前がついていますが、実際には種子植物です。

特徴

モウセンゴケは、湿地のような場所に生息する小さな植物です。茎は非常に短く、葉は地面から放射状に広がります。葉にははっきりとした葉柄があり、葉身はほぼ円形です。

葉の表面には多くの長い毛（粘毛）が生えており、その先端からは甘い香りの粘液が分泌されます。この粘液に誘われてやってきた虫がくっつくと、粘毛と葉が虫を包み込むように曲がり、消化吸収します。しかし、モウセンゴケの天敵であるモウセンゴケトリバの幼虫は粘液に耐性があり、逆にモウセンゴケを食べてしまいます。

日当たりの良い場所に生えるモウセンゴケは、粘毛が赤く色づき、一面に生えている場所では、まるで毛氈を敷いたように見えることから「毛氈苔」という名前が付けられました。

根はあまり発達しません。冬になると、茎の先端に葉が丸まったような冬芽をつけ、厳しい寒さを乗り越えます。

分布

モウセンゴケは、北半球の高山や寒地に広く分布しています。ミンダナオ島やニューギニアなど、南半球でも発見されています。日本では、北海道から九州までの湿地帯に自生しており、多くの都道府県でレッドリストの絶滅危惧種に指定されています。

モウセンゴケとナガバノモウセンゴケが同じ場所に生育している場合、両者の中間的な特徴を持つサジバモウセンゴケという雑種が生まれることがあります。また、トウカイコモウセンゴケは、モウセンゴケとコモウセンゴケの雑種が染色体数を倍加させたものと考えられています。

花

モウセンゴケは、6月から8月にかけて花を咲かせます。花は白またはピンク色の5枚の花びらを持ちます。茎の中心から花柄を伸ばし、花柄の先端は渦巻状に丸まっており、その外側に花が咲きます。花が咲くにつれて花柄はまっすぐになります。

近縁種

モウセンゴケ属には、世界中に多くの種が存在し、いずれも葉の表面に粘毛を持ち、それを利用して虫を捕獲する食虫植物です。

日本に自生する主な近縁種としては、以下のものがあります。

ナガバノモウセンゴケ (Drosera anglica)：葉が細長い。
サジバモウセンゴケ (Drosera × obovata)：モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの雑種。
コモウセンゴケ (Drosera spatulata)：葉柄が不明瞭で、より南方に分布する。
トウカイコモウセンゴケ (Drosera tokaiensis)：モウセンゴケとコモウセンゴケの雑種。

コモウセンゴケとの違い

コモウセンゴケは、葉の葉柄がはっきりせず、次第に細くなって基部に続いています。また、コモウセンゴケは水気の多い岩場などに生え、長い根を伸ばします。冬芽は作らず、そのままの姿で冬を越します。より南の地域に分布しています。

その他の特徴

モウセンゴケのように、根生葉を出し、花柄だけが立ち上がるもの：ナガバノモウセンゴケ・コモウセンゴケ・トウカイコモウセンゴケなど。
茎が立ち上がり、茎に沿って葉を出すもの：イシモチソウ・ナガバノイシモチソウなど。

人間との関わり

モウセンゴケは、園芸植物として栽培されることがあります。また、喘息を抑える薬として、主にヨーロッパで伝統的に使われてきました。近年では、研究によりアレルギーを抑制する物質が含まれていることが判明しています。

関連画像

[モウセンゴケの画像1]
[モウセンゴケの画像2]
[モウセンゴケの画像3]
[モウセンゴケの画像4]
[モウセンゴケの画像5]
[モウセンゴケの画像6]
[モウセンゴケの画像7]

脚注

脚注1] [植物雑学辞典（岡山理科大学）
脚注2] [モウセンゴケの標本（千[[葉大学]]附属図書館）

関連項目

モウセンゴケ属
食虫植物

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