若尊

若尊（わかみこ）について

若尊は、鹿児島湾の北東部に広がる海中に存在する海底カルデラおよび火山群で、南北に約2.5キロメートル、東西に約3.5キロメートルの規模を誇ります。この地域は2003年に活火山として認定され、解明されつつあるその特性が注目されています。

カルデラの概要

若尊のカルデラは水深約200メートルの平らな地形を形成しており、姶良カルデラの一部と見なされています。このカルデラは約25,000年前に発生した姶良大噴火の主要な火口であると考えられており、その地質的背景は非常に興味深いものです。

また、若尊にはタギリ中央火口丘、ホリノデ中央火口丘、アブラツボ中央火口丘など、複数の海底火山があります。これらの火山からは記録に残る噴火は発生していないものの、周辺では年間数回から数十回の微小地震が観測されており、その活動は現在も続いています。

特に目を引くのが、海底で見られる噴気活動です。これは海面に泡として表れる現象で、地元の漁師たちによって「滾り（たぎり）」と呼ばれています。また、若尊からの噴出物が鹿児島湾内の安永諸島の一部を形成した可能性についても、研究者の間で言及されています。

調査と発見

1970年代から若尊を含む姶良カルデラの活動調査が進められ、数々の重要な発見がなされました。以下に主な調査結果を挙げます。

• - 1977年：噴気中から二酸化炭素と硫化水素が検出され、火山活動が裏付けられました。
• - 2003年：海洋研究開発機構による調査において、海底表面から熱水が湧き出ている様子が確認され、さらに海底下20メートルでは137℃の熱が観測されました。
• - 2007年：熱水噴出口が発見され、熱水の温度は187.3℃に達しました。
• - 2007年および2008年の調査では、海底堆積物に高濃度のアンチモンが含まれていることが確認され、日本国内での需要の180年分の埋蔵が見込まれました。金の埋蔵量は計算上25トン程度とされています。

生物相

1993年に行われた調査では、噴気口近くの海底に新種のハオリムシ（チューブワーム）が発見され、「サツマハオリムシ」と名付けられました。この発見は、若尊周辺の生態系が独自の進化を遂げていることを示唆しています。

参考文献

• - 『かごしま文庫61 鹿児島湾の謎を追って』 (大木公彦、春苑堂出版)
• - 気象庁ウェブサイトにおける若尊に関する情報

若尊は、活発な火山活動と独自の生物相を持つ神秘的な存在であり、今後の研究によってさらなる理解が深まることが期待されています。

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