鹿児島湾

鹿児島湾の概要

鹿児島湾（かごしまわん）は、鹿児島県の薩摩半島と大隅半島に挟まれた湾で、日本百景の一つに選ばれています。この湾は、錦江湾（きんこうわん）としても知られ、古くから地域に親しまれています。湾は霧島錦江湾国立公園の南部に位置し、多くの自然景観に恵まれています。

地理的位置

鹿児島湾の面積は約1,130km²で、南北に約80km、東西に約20kmの範囲を持ち、やや湾曲した形状をしています。湾は、湾奥部、湾中央部、湾口部の3つの海域に分かれています。この中で、湾奥部には活火山の桜島が位置し、海底は椀状の形で比較的深く、平均水深は117mです。また、約330kmにわたる海岸線の60%は人工的な護岸で整備されています。

湾奥部

湾奥部は面積約250km²、平均水深140m、最大水深206mであり、姶良カルデラの一部を形成しています。この地域には、鹿児島湾唯一の有人島である新島が存在しますが、2014年の時点では常住者がいません。周囲には、若尊という海底活火山があり、火山性の噴気活動が観測されています。地域自治体には、鹿児島市、姶良市、霧島市、垂水市が含まれています。

湾中央部

湾中央部は580km²の面積で、平均水深は126m、最大水深は237mです。阿多北部カルデラにあたるこの海域には、甲突川や永田川、神川などの河川が流れ込んでおり、鹿児島市や垂水市、鹿屋市などが沿岸に位置します。

湾口部

湾口部は300km²の面積で、知林ヶ島の南側に位置しており、平均水深は80mです。ここには雄川などの河川が流れ込んでおり、指宿市や南大隅町が周囲を囲みます。

名称の由来

鹿児島湾は「錦江湾」とも呼ばれ、地域によく見られる地名や施設にその名が残っています。この名称は、島津家第18代当主である島津家久が詠んだ和歌が由来とされており、鹿児島市内には関連する碑も存在します。江戸時代には固有の名称が無く「入海」や「内海」といった一般名詞で呼ばれていましたが、明治以降に「鹿児島湾」の名称が確立されました。

歴史的背景

鹿児島湾は、南北に連なる正断層に沿った地殻の沈降により形成されたと考えられています。この地域にはカルデラや火山地形が多く存在し、約2万5千年前には姶良カルデラの噴火によって現在の形状が作られました。また、1914年の桜島大正大噴火で桜島と大隅半島が繋がることで、湾の形状が大きく変化しました。

自然環境の豊かさ

鹿児島湾周辺は、霧島錦江湾国立公園の一部として保護されており、特に湾中央部には日本におけるマングローブ林の北限が広がっています。また、イルカや海亀が生息し、豊かな生態系が形成されています。しかし、沿岸地域の人口約90万人がもたらす生活排水や産業廃水が水質に影響を与え、大潮の発生も懸念されています。

繁栄した港湾

湾には様々な港が存在します。湾奥部の重富港や加治木港、湾中央部の鹿児島港、湾口部の指宿港などがあり、地域の交通や物流の拠点となっています。桜島フェリーや行政連絡船も運航されており、地域住民の生活を支えています。

文化的意義

鹿児島湾は、文部省の唱歌「われは海の子」にも描かれており、地域の文化的な象徴として存在しています。また、湾を愛する市民たちにとっても、大切な自然の一部となっています。

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