若戸渡船

若戸渡船：洞海湾を繋ぐ市民の足

若戸渡船は、福岡県北九州市が運営する市営渡船で、若松区と戸畑区の間、洞海湾を横断する航路です。「ポンポン船」の愛称で親しまれ、地元住民にとって欠かせない交通手段となっています。

歴史

若戸渡船の歴史は古く、明治時代以前から若松の地主による運航が行われていました。その後、1889年頃からは若松村が運航を引き継ぎ、1919年からは若松市と戸畑町の共同運航となりました。1930年には悲惨な沈没事故が発生しましたが、1936年以降は両市による市営となり、現在に至るまで自治体による運営が継続されています。

1962年に若戸大橋が開通するまでは、若松地区と戸畑地区を結ぶ唯一の交通手段でした。橋の開通により貨物船は廃止されましたが、市民の強い要望により旅客船は存続しました。現在では、通勤・通学の足としてだけでなく、若戸大橋の歩道が廃止されたため、自家用車を利用しない場合の湾を渡る手段として重要な役割を担っています。

運航

若戸渡船の運航業務は、2005年から鶴丸海運、2014年からは関門汽船に委託されています。船舶は「くき丸」と「第十八わかと丸」が運航しており、それぞれ110人と140人の旅客定員があります。かつては「第十七わかと丸」や「第十六わかと丸」などの船舶も活躍していました。

運賃は大人100円、小児50円で、乗船券は渡場の待合室にある券売機で購入します。かつては大人20円、小児10円という非常に安価な運賃で知られていましたが、数度の値上げを経て現在の運賃となりました。普通乗船券の他、回数券や定期券も利用可能です。自転車を持ち込む場合は別途運賃が必要です。

特徴

若戸渡船は、特に通勤・通学時間帯には多くの利用客で賑わいます。航行中は大型船の通過待ちなどで時間がかかることもあります。また、若松桟橋では潮の流れが強い場合に欠航となることがあります。しかし、これらの状況にもかかわらず、若戸渡船は地域住民にとって重要な交通手段であり続けています。

航路と船舶

若戸渡船は、若戸航路（戸畑渡場 - 若松渡場）を運航しています。戸畑渡場には、市営航路を所管する渡船事業所が置かれています。船舶は、「くき丸」と「第十八わかと丸」が主に使われており、それぞれに特徴があります。

くき丸：2000年就航、総トン数19.0トン、旅客定員110人。
第十八わかと丸：2011年就航、総トン数38.0トン、旅客定員140人。

周辺施設

若松渡場と戸畑渡場は、それぞれ鉄道駅やバス停と接続しています。

若松渡場：JR筑豊本線若松駅から徒歩15分、北九州市営バス若松渡場バス停併設。
戸畑渡場：JR鹿児島本線戸畑駅から徒歩7分、西鉄バス北九州戸畑渡場バス停隣接。

まとめ

若戸渡船は、北九州市の歴史と文化を象徴する存在であり、地域住民の生活を支える重要な交通インフラです。単なる移動手段としてだけでなく、洞海湾の美しい景色を眺めながら、ゆったりとした船旅を楽しむこともできます。北九州市を訪れる際には、ぜひ一度、若戸渡船に乗船してみてはいかがでしょうか。

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