若松町 (函館市)

函館市若松町：歴史と観光が交差する街

若松町は、北海道函館市に位置する町丁で、函館駅や函館朝市があり、多くの人々が行き交う場所です。この地は、かつて箱館（函館の旧称）と亀田の境界であり、戊辰戦争の舞台ともなりました。この記事では、若松町の歴史、観光スポット、そして災害の記録を紐解き、その魅力を深く掘り下げます。

若松町の概要

若松町は、函館市の旧市街地に位置し、函館港に面しています。この町は、一本木町、高砂町、大縄町、音羽町、鶴岡町といった旧町が合併して成立しました。町名は、母体となった一本木町に隣接する鶴岡町にちなみ、縁起の良い意味を持つように名付けられました。また、町内の一部と松風町にまたがる大門通りは、歓楽街として知られています。

海岸町との境界付近は、通称「松川街道」と呼ばれ、五稜郭築城の際の工事道路の入口でした。かつてこの場所には大下水の流れがあり、若松橋が架けられていました。明治時代には、潮が満ちると道路が冠水するような土地でしたが、鉄道の踏切が設けられ、函館馬車鉄道の終点となりました。

1965年（昭和40年）7月1日、住居表示に関する法律に基づき、区域と名称が変更され、現在の若松町が成立しました。

観光スポットとしての若松町

若松町を語る上で欠かせないのが、函館朝市です。1956年（昭和31年）に現在の場所に移転して以来、新鮮で安価な食材を求めて多くの人々が訪れるようになりました。最盛期には約400店舗を擁し、「市民の台所」として発展しましたが、郊外の発展やスーパーマーケットの進出により、次第に観光地としての性格を強めていきました。現在では、メディアへの露出も多く、映画やドラマのロケ地としても利用されています。

代表的な作品としては、映画「居酒屋兆治（1983年）」や「海炭市叙景（2010年）」が挙げられます。

旧町丁の概要

若松町は、いくつかの旧町丁が合併して成立しました。それぞれの町丁には、独自の歴史と文化があります。

一本木町

一本木町は、若松町の母体となった町丁で、1872年（明治5年）に命名されました。かつては箱館と亀田の境界であり、幕末期にはわずか数軒の家があるだけの場所でした。地名の由来は、柏の大木があったことによるとされています。

戊辰戦争中には、旧幕府軍が市中取締強化のために「一本木関門」を設け、通行税を徴収しました。この関門は、土方歳三が戦死した場所の一つとしても知られています。

鶴岡町

鶴岡町は、亀田村に接する地として名付けられました。箱館の東端に位置し、国道279号（亀田道）沿いの市街地化が進んだことが街の始まりです。土方歳三が戦死した場所の一つであるという説もあります。

高砂町

高砂町は、1873年（明治6年）に設けられました。町名は、能・謡曲「高砂」に由来する縁起の良い言葉から取られました。かつては函館気候測量所（現在の函館地方気象台）が置かれ、正午を知らせる午砲（ドン）のタイミングを伝えていました。

音羽町

音羽町は、1873年（明治6年）に設けられた町で、周囲の縁起の良い町名に合わせて選ばれました。活動写真常設館の音羽館や芸者の事務所の音羽見番がありました。

災害の記録

若松町は、地震に対して脆弱な地盤であり、津波の危険性も高い地域です。過去には、チリ地震や十勝沖地震などの津波による浸水被害を受けており、東日本大震災では犠牲者も出ています。

また、太平洋戦争末期の函館空襲では、札幌鉄道郵便局函館郵便室の職員が殉職するなどの被害を受けました。

若松町の年表

若松町の歴史を年表形式でまとめました。

1511年（永正8年）：宇須岸河野館（箱館）の城主河野季通が一本木で戦死（諸説あり）
1869年（明治元年）11月頃：旧幕府軍が一本木に関門を設置
1872年（明治5年）2月：一本木町が命名
1873年（明治6年）10月：若松町、高砂町、音羽町が新設
1956年（昭和31年）9月21日：函館朝市が現在地に移転
1965年（昭和40年）7月1日：現在の若松町が成立
2011年（平成23年）3月11日：東日本大震災による津波被害

主要施設

若松町には、以下のような主要施設があります。

函館駅
函館朝市
若松ふ頭
函館市総合福祉センター
函館市青函連絡船記念館摩周丸

まとめ

若松町は、歴史と観光が交差する魅力的な街です。函館駅や函館朝市といった観光スポットに加え、戊辰戦争の舞台となった歴史的な背景も持っています。また、災害の記録からは、自然の脅威に対する備えの重要性を学ぶことができます。函館を訪れる際には、ぜひ若松町を散策し、その魅力を体感してみてください。

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