若浪順

若浪 順（わかなみ じゅん）

若浪順（1941年3月1日 - 2007年4月16日）は、茨城県出身の元大相撲力士です。本名は冨山 順。立浪部屋に所属し、1968年5月場所で最高位の東小結に上り詰めました。怪力を誇り、得意な取り口は左四つ、吊りや押しも取り入れていました。引退後は年寄・大鳴戸と名乗り、その後玉垣に変名し、若手力士の指導に努めました。

幼少期と相撲への道

若浪は農家に生まれ、父は土地相撲で大関を務めた人物でした。幼い頃から特異な怪力の持ち主で、小学校時代には米俵を持ち上げて兄弟たちを驚かせていました。中学校では野球や柔道、砲丸投げを通じて体力を鍛え、また相撲界で一世を風靡していた若ノ花に憧れて力士になることを決意しました。

若浪の力士としてのキャリアは、中学1年生の時に立浪部屋への入門を希望するところから始まりました。しかし、彼は体重不足で入門が叶わず、1年後に再度挑戦して初土俵を踏むことになりました。立浪からは反発力のある四つ相撲を促され、以降はそのスタイルを磨いていきました。

現役時代の活躍

新十両昇進は1961年3月、そして1963年には新入幕を果たしました。幕内での戦績は目を見張るものがあり、1968年3月場所では12勝2敗という成績で幕内最高優勝を68kgの軽量で達成しました。この偉業は、多くの力士が予想した中での若浪の意外な勝利として、相撲界に衝撃を与えました。

特に注目されたのは、彼の得意技の一つである吊りです。若浪は、体重200kgを超える髙見山をも吊り上げるほどの力を持ち、戦う相手を高く持ち上げる「目まで吊り上げる」戦法が知られていました。彼の対戦相手の中でも明武谷や陸奥嵐との対戦は、好取組として多くのファンを魅了しました。

引退と指導者としての活動

1972年、31歳で引退した若浪は、その後年寄・大鳴戸を襲名し、後に玉垣に名跡を変えました。退職するまで、立浪部屋で若手力士の指導に情熱を注ぎ、様々な大会で経験を積んだ彼の指導は、後進の育成に大きく寄与しました。また、協会内では審判委員や監事としても活躍しました。

最期と遺産

若浪は晩年、脳出血を経験し、その後病床にありました。引退後も相撲界に貢献し続けましたが、2007年4月、肺炎により66歳でこの世を去りました。彼の甥も同じく立浪部屋で活躍しました。若浪の試合スタイルや指導者としての姿勢は、相撲ファンや後進の力士たちに今も記憶されています。

まとめ

若浪順は、相撲界での功績だけでなく、怪力を活かし絶え間ない努力を通じて、多くの後輩達に影響を与えた偉大な人物です。彼の業績は、今後も日本の相撲界における重要な足跡として語り継がれることでしょう。

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