若葉 (初代神風型駆逐艦)

若葉（初代）

大日本帝国海軍の駆逐艦「若葉（わかば）」は、初代神風型駆逐艦の24番艦として建造された艦艇です。同名の艦として、後に初春型駆逐艦の「若葉」が存在するため、区別のために「若葉 (初代)」あるいは「若葉I」と表記されることがあります。その生涯は、日露戦争後の海軍力増強期に始まり、第一次世界大戦やシベリア出兵といった歴史的局面に関わり、掃海艇として再出発した後、その役目を終えました。

建造から竣工まで

「若葉」の建造計画は、製造番号第24号として進められました。1905年（明治38年）2月15日にその名を与えられ、同年5月20日、横須賀海軍工廠にて起工されます。順調に建造は進み、同年11月25日には進水式を迎えました。そのわずか3日後の11月28日には正式に駆逐艦として艦種に加えられ、翌1906年（明治39年）2月28日に無事竣工しました。

戦歴と任務

竣工後、「若葉」は帝国海軍の一員として様々な任務に就きました。第一次世界大戦が勃発すると、本艦は主要な作戦の一つである青島攻略戦に参加し、ドイツの東洋における重要拠点であった青島の占領に貢献しました。また、ロシア革命後のシベリア出兵においては、沿海州方面の沿岸警備に従事し、日本の権益保護や勢力圏維持のための活動を行いました。これらの任務を通じて、「若葉」は当時の国際情勢における日本の立場を支える一翼を担いました。

掃海艇への類別変更と最期

時代が進み、艦艇の技術も発展していく中で、「若葉」はその役割を変えることになります。1924年（大正13年）12月1日、本艦は掃海艇へと類別が変更され、新たな任務に就きました。しかし、艦齢を重ねた「若葉」は徐々にその役目を終える時期を迎えます。1928年（昭和3年）4月1日をもって帝国海軍の艦籍から除かれ、同年7月6日には「廃駆逐艦第16号」という仮称を与えられました。そして、翌1929年（昭和4年）1月31日、ついに廃船となり、その波乱に富んだ生涯を終えました。

歴代指揮官

駆逐艦「若葉」および掃海艇「若葉」には、多くの海軍士官が艦長または掃海艇長として着任しました。彼らはそれぞれの時代の海軍の方針に従い、本艦の運用を担いました。記録に残る主な指揮官は以下の通りです。

駆逐艦長
成瀬美雄 大尉：1906年1月25日 - 10月25日
加々良乙比古 大尉：1906年10月25日 - 1907年7月1日
玉岡吉郎 大尉：1907年7月1日 - 1907年10月15日 （兼務）
関干城 大尉：1907年10月15日 - 11月22日 （兼務）
武富咸一 大尉：1907年11月22日 - 12月18日 （兼務）
日高謹爾 大尉：1907年12月18日 - 1908年2月20日
松下惣吉 大尉：1908年2月20日 - 1909年5月1日
木岡英男 大尉：1909年5月1日 - 1911年12月1日
横田亨 大尉：1911年12月1日 - 1912年12月1日
伊東真三郎 少佐：1912年12月1日 - 12月20日 （兼務）
川田功 大尉：1912年12月20日 - 1913年12月1日
前原謙治 大尉：1913年12月1日 - 1915年9月8日
後藤章 大尉：1915年9月8日 - 1916年9月5日
金田光太郎 大尉：1916年9月5日 - （期間終了日の記載なし）
神山忠 大尉：1917年10月10日 - 1918年12月1日
浅野千之介 大尉：1918年12月1日 - 1920年12月1日
小林徹理 大尉：1920年12月1日 - 1921年12月1日
日台虎治 大尉：1921年12月1日 - 1922年11月1日
柴田力 大尉：1922年11月1日 - 1924年8月20日
清水他喜雄 大尉：1924年8月20日 - （期間終了日の記載なし）
掃海艇長
中島新太郎 大尉：1924年12月1日 - 1926年1月15日
宮坂市郎 大尉：1926年1月15日 - 10月15日

これらの指揮官のもと、「若葉」は就役期間を通じて様々な役割を果たし、日本の近代海軍史の一頁を飾りました。

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