英国人名事典

英国人名事典とは

『英国人名事典』（英: Dictionary of National Biography; DNB）は、イギリスの歴史上著名な人物たちの生涯をまとめた人物録です。1885年に最初に出版され、その後の更新版である『オックスフォード英国人名事典』（英: Oxford Dictionary of National Biography; ODNB）は、2004年に60巻にわたって刊行され、オンラインでアクセス可能となっています。

誕生の背景

この事典は1882年に、スミス・エルダー&カンパニーの出版者、ジョージ・スミスによって提案されました。彼の目標は、世界的に評価される人物たちを網羅した百科事典を作成することであり、当時発行されていた他国の伝記集に触発されたものです。スミスは雑誌『コーンヒル・マガジン』の編集者であるレズリー・スティーヴンを編纂に招き、イギリス及びその植民地に焦点を当てるように彼を説得しました。

当初のタイトルは『バイオグラフィア・ブリタニカ』（英: Biographia Britannica）でしたが、最終的に『英国人名事典』として1885年1月に第1巻が発行されました。スティーヴンが1891年に編集者を辞任した後、シドニー・リーがその役目を引き継ぎ、編集チームには様々なバックグラウンドを持つ編集者や学者が集まりました。このプロジェクトは、内々の編集作業ではなく、外部の作家や学者を活用した特徴がありました。

編纂の進展

本事典は、発行からの最初の数年間で、合計63巻にわたり29,120人以上の著名な人物を収録しました。事典の設立初期は、主に故人を取り扱っており、発行直後に3冊の増補が行われました。これには、1885年から1900年までに亡くなった人物が含まれており、ヴィクトリア女王もその一人です。また、1904年には正誤表が発行され、1908年と1909年には詳細な修正を加えた再発行が行われました。

20世紀には、概ね10年ごとに増補版が発行され、特に1912年には1901年から1911年に亡くなった人物を追加した巻が出版されました。この増補を通じて、収録人数は38,607人にまで増加しました。

縮約版の発行

事典の発行後、特に短い形式の記事を集めた『縮約版英国人名事典』も数版出版され、個々人の主要な業績を網羅しつつも、コンパクトな内容が特徴でした。最後の縮約版は1986年に亡くなった人物を含めて発行されています。

オックスフォード英国人名事典へ

1990年代初頭、オックスフォード大学出版局は、既存の『英国人名事典』の見直しを決定し、1992年からコリン・マシューを中心に『新英国人名事典』（後に『オックスフォード英国人名事典』と改名）を編纂しました。この新しい辞書では、2000年12月31日までの幅広い英国の歴史をカバーし、14,000件もの新しい記事が追加されました。更新作業は、オックスフォード大学の研究者や外部コンサルタントと共に進められました。

2004年9月には全60巻で発行され、54,922人を収録した7500ポンドの辞典が完成しました。オンライン版も提供され、利用者は便利に情報にアクセスできるようになりました。内容の正確性については多くの評価を受けましたが、発行後、いくつかの批判もありました。それでも、この辞典は歴史的な著名人の記録を一元化した重要な資料となっています。

収録内容とアクセス

『オックスフォード英国人名事典』には、原本の『英国人名事典』で収録されていなかった人々の情報も含まれています。オンライン版には便利な検索機能が搭載されており、多様なテーマで人物を探すことが可能です。利用者は、興味のある分野や歴史的背景に基づいて、人物の詳細な情報を簡単に見つけることができます。今後も、この辞典は歴史研究や教育の重要なリソースとして利用されていくことでしょう。

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