茂木七郎治

茂木 七郎治

茂木 七郎治（もぎ しちろうじ）は、明治31年（1898年）9月12日に生まれ、平成5年（1993年）1月1日に94歳で没した日本の実業家です。前名を高治郎といい、千葉県東葛飾郡野田町（現在の野田市）出身。野田の有力な醤油醸造家の一族であり、代々野田の経済界で重要な役割を担ってきた茂木七郎治家の四代目当主を務めました。

幼少期を経て明治中学に学び、その後、地元の主要産業であった野田醤油株式会社（現在のキッコーマン株式会社）に入社しました。実業界でのキャリアを積む傍ら、明治大学でも研鑽を積んでいます。大正7年（1918年）に家督を相続し、その際に前名の高治郎を改め、四代目として七郎治の名を襲名しました。父は三代七郎治で、肥料商として知られ、野田商誘銀行の支配人も務めた人物です。

七郎治は家業を受け継ぐとともに、地域社会や産業の発展に広く関与しました。特に運輸分野では、野田運輸、花畑乗合自動車、野田自動車運輸の各代表を務め、地域の交通インフラ整備に尽力しました。また、鉄道事業にも関わり、総武鉄道の常務取締役として経営に参画。さらに、柏屋商事の監査役や、父も関わった野田商誘銀行の支配人を務めるなど、多岐にわたる事業体の要職を歴任し、その経営手腕を発揮しました。

個人的な側面としては、読書や旅行を趣味とし、囲碁を嗜むなど、多忙な事業活動の傍らで知的な趣味や余暇を楽しんだようです。宗教は真言宗を信仰していました。本拠地は代々受け継がれる千葉県野田市野田の住所に構えていました。

茂木七郎治家は、初代七郎右衛門の次男である善三郎が安政5年（1858年）に分家を起こしたことに始まります。初代善三郎は、勤勉で質素な生活を送り、同時に公共の利益や慈善活動に尽力することを喜びとした人物と伝えられています。このような家風は代々受け継がれ、地域社会における信頼と地位を築く基盤となりました。

七郎治の家族構成を見ると、祖父の林景は歌や俳句に長けた文化人でした。父は三代七郎治、母はふみ。弟の専之助は小宮六兵衛の養子となりました。姉のヨシは東京の酒井米次郎に嫁いでいます。妻の包は千葉の藤崎勘三郎の二女であり、七郎治との間に長男と二女、三女をもうけました。このように、七郎治は広範な親族とのつながりを持つ家系の当主でした。

四代目茂木七郎治は、変化の激しい時代において、家業である肥料商にとどまらず、運輸、鉄道、金融など様々な分野に進出し、その経営手腕によって野田地域の経済や社会基盤の発展に貢献した実業家として、その名を残しています。特に、野田の醤油醸造業と密接に関わる家柄として、地域の産業構造の中で重要な役割を果たしました。その生涯を終えました。

もう一度検索