茅ヶ崎貝塚

茅ヶ崎貝塚について

茅ヶ崎貝塚（ちがさきかいづか）は、神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎東に位置する、縄文時代前期から中期、そして古墳時代および奈良・平安時代の集落も含む複合遺跡です。この遺跡は、港北ニュータウン遺跡群の一部として発掘調査が行われ、多くの貴重な発見がありました。

位置と環境

茅ヶ崎貝塚は、鶴見川の支流である早渕川の低地に向かって北東に突き出た標高約35メートルの台地上に存在しています。縄文時代の貝層は、台地の北側および西側の斜面に広がっており、これらの貝層は貝殻の積み重なりから成り立っています。これらの貝層は、当時の人々がこの地域で行っていた生活の一端を伺わせる重要な証拠となります。

発掘調査の歴史

1965年には、港北ニュータウン開発に伴う埋蔵文化財調査が始まりました。そして1987年から1988年にかけて、茅ヶ崎貝塚の発掘調査が行われました。この調査により、台地上面には縄文時代前期から中期にかけての竪穴建物が27軒、土坑墓が85基、貯蔵穴が3基発見されました。

発見された竪穴建物は、黒浜式期から五領ヶ台式期にかけてのものであり、例えば黒浜式期の建物は5軒、諸磯b式期の建物は7軒など、時代ごとの構成が明確に分かれています。また、台地の斜面では2か所の貝層が確認され、各種埋葬形式や当時の環境を知るうえでの貴重な資料となっています。

環状集落とその特徴

調査からは、茅ヶ崎貝塚が前期中葉に発展した環状集落の一部であることが明らかになりました。設計された中央広場には土坑墓群が形成され、当時の人々の社会構造や生活様式を理解する手がかりを提供しています。この集落の特長は、縄文時代の人々が協力して生活し、また営みを支えるためのコミュニティを形成していたことを示しています。

現在の状況

調査後、台地の地域は住宅地やマンションとして開発されましたが、調査未実施の台地西側斜面の貝層は緑地として保存されることが予定されています。この場所は「せきれいのみち」と名付けられた谷戸の緑道の中に保存されており、地域の歴史や文化を感じることができる空間として機能しています。

参考文献

• - 横浜市埋蔵文化財センター「茅ヶ崎貝塚」『全遺跡調査概要』公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団、1990年。
• - 横浜市教育委員会生涯学習部文化財課『横浜市文化財地図』、2004年。
• - 谷口康浩『環状集落と縄文社会構造』学生社、2005年。

まとめ

茅ヶ崎貝塚は、縄文時代から古代にかけての人々の生活を知るうえで貴重な遺跡であり、地域の歴史を理解する上での重要な資料を提供しています。発掘調査によって得られた知見は、これからの研究や地域振興に大きな役割を持つことでしょう。

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