茅野蕭々

茅野蕭々の生涯と業績

茅野蕭々（ちの しょうしょう）は1883年3月18日に長野県諏訪郡上諏訪村（現諏訪市）で生まれました。彼の本名は茅野儀太郎で、号は「暮雨」として知られています。彼の妻は歌人の茅野雅子（旧姓：増田）であり、二人は文壇で多くの活動を共にしました。

学歴と初期の活動

蕭々は、まず諏訪郡立実科中学校、続いて第一高等学校（旧制一高）に通い、1908年には東京帝国大学独文学科を卒業しました。同級生には小宮豊隆や小牧健夫などがいて、彼の劇的な文学人生はここから始まることになります。

旧制一高在学中、与謝野鉄幹が主宰する新詩社の『明星』に参加し、短歌や詩、評論などを発表しました。彼のペンネーム「蕭々」は与謝野鉄幹から授けられたもので、以降彼はこの名前で広く知られるようになります。その後『明星』が廃刊となった後も、彼は森鷗外や与謝野鉄幹らと共に『スバル』で活躍しました。

文学的貢献

茅野はリルケやゲーテといった著名な作品の翻訳も手掛け、多くの翻訳書を残しました。彼の翻訳は、ドイツ文学の魅力を日本に紹介する重要な役割を果たし、今日でも多くの読者に親しまれています。

また、彼は与謝野晶子や山川登美子を含む数名の詩人と共に、詩の分野でも高い評価を受けていました。特に彼は妻の雅子に愛情を注ぎ、彼女との結婚に向けた困難な道のりも詩に反映されています。雅子は日本女子大学を卒業後、絶縁覚悟で蕭々との結婚に踏み切りました。実際、蕭々は激しい求婚を行い、最終的には二人は結婚式を挙げることとなります。

戦時中の活動と晩年

彼は戦時中、日本文学報国会の外国文学部会長を務めましたが、1945年の東京大空襲により激しい被災を受け、顔面に火傷を負います。このような苦しみの中でも、彼は文学に対する情熱を絶やすことはありませんでしたが、1946年に脳溢血で急死しました。彼の死後、わずか4日後に妻の雅子も病に倒れ、二人は共にこの世を去ることになりました。彼らの墓所は雑司ヶ谷霊園にあります。

著作と翻訳

茅野蕭々は数多くの著作を残しています。主な著書には『世界文学思潮』や『ゲーテ研究』、『独逸浪漫主義』などがあり、彼の文学への熱い想いが込められています。また、彼の翻訳作品も多岐にわたります。「人形つかひ」や「兄と妹」といった作品は、彼の手によって日本に紹介され、文学界に影響を与えました。さらに、彼の翻訳した詩や戯曲も多く、例えば『リルケ詩抄』や『ダマスクスへ』などは、今でも多くの人々に読まれています。

まとめ

茅野蕭々は、日本におけるドイツ文学の紹介と普及に大きな功績を残した人物です。彼の作品や翻訳は、今なお文学ファンの心を掴んでおり、彼自身の生涯もまた多くのドラマに満ちています。文壇における彼の存在は、今後も語り継がれることでしょう。

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