茶臼山古墳 (大阪市)

茶臼山古墳：歴史とロマンが交差する場所

茶臼山古墳は、大阪市天王寺区茶臼山町に位置する前方後円墳です。大阪府指定史跡として、その歴史的価値が認められています。現在、古墳の周囲は天王寺公園として整備されており、市民の憩いの場となっています。

古墳の概要

古墳の周囲は遊歩道が整備され、散策を楽しむことができます。公園との間には河底池（かわぞこいけ・こそこいけ、通称ちゃぶいけ）があり、この池は、788年に和気清麻呂が上町台地を開削しようとして失敗した跡地であるという説があります。

茶臼山一帯は、古来より荒陵、または荒陵山と呼ばれており、古墳であるという伝承がありました。四天王寺には、この地から発掘されたとされる石棺蓋が伝わっています。古地図の形状からも古墳であることが推測され、従来は前方後円墳と考えられてきました。

古墳説と否定説

1986年の発掘調査では、埴輪や葺石などが確認されなかったため、「古墳ではない」とする説も浮上しました。しかし、四天王寺境内の発掘調査では埴輪などが出土しており、茶臼山古墳を含めた周辺地域のさらなる発掘調査が期待されています。2009年の発掘調査では、水銀朱を塗られた石室らしきものが発見され、古墳である可能性が再び注目されています。

墳丘の標高は26mで、大阪五低山の一つに数えられています。

歴史的背景

古墳自体は5世紀にこの地の豪族のために作られた墓と考えられていますが、被葬者は不明です。大阪市内でも最大級の前方後円墳として知られています。1546年には、細川晴元の家臣である山中又三郎が古墳の後円部に大塚城を築きました。

1614年の大坂冬の陣では、茶臼山一帯が徳川家康の本陣となり、翌1615年の大坂夏の陣では真田信繁（幸村）の本陣となり、「茶臼山の戦い（天王寺口の戦い）」の舞台となりました。

明治時代以降は住友家の邸宅敷地の一部となりましたが、1925年に住友家から邸宅敷地（現・大阪市立美術館）や慶沢園とともに大阪市に寄付され、天王寺公園の一部となりました。河底池は1928年に公園に編入されています。

周辺情報

茶臼山古墳の周辺には、以下の観光スポットがあります。

堀越神社
安居神社
一心寺
四天王寺
四天王寺本坊庭園
邦福寺（統国寺）

茶臼山古墳は、古代から近世にかけての歴史が詰まった場所であり、訪れる人々に様々な物語を伝えてくれます。公園として整備された現在も、その歴史的な重要性は失われることなく、多くの人々に親しまれています。

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