茶谷誠一

茶谷誠一氏について

茶谷誠一（ちゃだに せいいち）氏は、1971年生まれの日本の歴史学者で、特に日本近代史を専門としています。現在は志學館大学人間関係学部の教授を務めています。

学歴と職歴

石川県出身の茶谷氏は、1995年に明治大学文学部史学地理学科を卒業後、同大学院の修士課程を修了しました。その後、立教大学大学院文学研究科に進み、2006年に博士後期課程を修了、「1930年代における宮中勢力の政治動向」というテーマで博士（文学）の学位を取得しました。研究者としてのキャリアは、成蹊大学文学部の助教などを経て、2018年に志學館大学人間関係学部の准教授に就任、2020年4月には同大学の教授に昇進しました。

研究内容

茶谷氏の研究は、昭和戦前期の宮中勢力、昭和天皇、象徴天皇制など、日本近代史における重要なテーマを扱っています。特に、宮中の政治動向や天皇と側近の関係、象徴天皇制の成立過程における「葛藤」などに焦点を当てた研究は、歴史学界で高く評価されています。また、一次史料に基づいた実証的な研究を重視しており、その研究成果は多くの著書や論文で発表されています。

主要な著書

『昭和戦前期の宮中勢力と政治』（吉川弘文館、2009年）
昭和戦前期における宮中勢力の政治的動向を分析した研究書。
『昭和天皇 側近たちの戦争』（吉川弘文館、2010年）
昭和天皇の側近たちの行動を通して、昭和期の戦争を考察した一冊。
『宮中からみる日本近代史』（筑摩書房、2012年）
宮中の視点から日本近代史を捉え直した書籍。
『牧野伸顕』（吉川弘文館、2013年）
昭和期の政治家であり、宮中にも影響力を持った牧野伸顕の生涯を辿る。
『象徴天皇制の成立 昭和天皇と宮中の「葛藤」』（NHK出版、2017年）
象徴天皇制が成立する過程における昭和天皇と宮中の動きを詳細に分析。

編著

茶谷氏は、多くの史料編纂にも携わっており、その業績は多岐にわたります。

『日中戦争対中国情報戦資料』全10巻（現代史料出版、2000年）
日中戦争における情報戦に関する貴重な資料集。
『「昭和天皇実録」講義 - 生涯と時代を読み解く』（吉川弘文館、2015年）
「昭和天皇実録」を読み解き、昭和天皇の生涯と時代背景を解説。
『金原節三陸軍省業務日誌摘録 前編』（現代史料出版、2016年）
陸軍省の業務日誌から、当時の軍部の動きを分析。
『関屋貞三郎日記』全4巻（国書刊行会、2018年）
宮内省の高官であった関屋貞三郎の日記を編纂。
『象徴天皇制のゆくえ』（志學館大学出版会、2020年）
象徴天皇制の今後のあり方について考察。
『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官 田島道治の記録』全7巻（岩波書店、2021年 - 2023年）
初代宮内庁長官の田島道治の記録を編纂。
副読本『「昭和天皇拝謁記」を読む』（岩波書店、2024年）
『昭和天皇拝謁記』を読み解くための副読本。

これらの著書や編著は、日本近代史研究に不可欠な資料として、多くの研究者や学生に活用されています。

研究への貢献

茶谷誠一氏は、日本近代史における重要なテーマを多角的に研究し、その成果を広く社会に発信することで、歴史研究の発展に大きく貢献しています。特に、宮中や天皇の動向に関する研究は、日本近代史の理解を深める上で非常に重要です。また、史料編纂を通じて、後世の研究者にも貴重な資料を提供し続けています。

茶谷氏の今後の研究活動にも、大いに期待が寄せられています。

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