金原節三

金原節三：軍医から自衛隊衛生監へ

金原節三（きんばら せつぞう、1901年11月3日 - 1976年10月29日）は、日本の軍医であり、陸上自衛隊の医官でもありました。専門は耳鼻咽喉科で、最終階級は陸将です。陸上幕僚監部衛生監を務めた人物としても知られています。

生い立ちと軍医への道

愛知県名古屋市出身の金原は、1919年に静岡県立静岡中学校を卒業後、第八高等学校を経て陸軍に入隊しました。1926年に東京帝国大学医学部を卒業し、陸軍二等軍医に任官。その後、陸軍軍医学校で研鑽を積み、1928年には済南事変に出征します。帰国後、東京帝大大学院で耳鼻咽喉科を専攻し、増田胤次教授に師事しました。

軍医としての活動

1932年、東京第一衛戍病院に勤務した後、陸軍省軍務局に配属。1934年からはドイツに駐在し、軍事研究に従事しました。帰国後は軍医学校付となり、医務局医事課員や逓信省、航空局、傷兵保護院などの事務官を歴任しました。1941年には医務局医事課長に就任し、1942年に軍医大佐に昇進。その後、近衛第二師団、第15軍、第38軍の軍医部長を歴任し、第二次世界大戦中は主に東南アジア各地を転戦しました。

戦後の活動と自衛隊

終戦後、金原は1946年に帰還し、厚生省の医務出張所長を務めましたが、公職追放を受け退官。1948年には名古屋市で開業医となりました。しかし、1955年に防衛庁に入庁し、陸上自衛隊衛生学校長に就任。陸将補に任命され、その後、陸上幕僚監部衛生課長を経て、陸将、そして第三代陸上幕僚監部衛生監に就任しました。1961年に退官するまで、自衛隊の衛生体制の確立に尽力しました。

著作と参考文献

金原は、自身の業務日誌をまとめた『金原節三陸軍省業務日誌摘録』を著したほか、『大東亜戦争陸軍衛生史』の編集にも携わりました。これらの著作は、当時の軍医の活動や衛生状況を知る上で貴重な資料となっています。また、金原に関する研究は『日本近現代医学人名辞典』にも収録されています。

関連事項

金原の業績は、陸上幕僚監部や陸上自衛隊衛生学校の歴史と深く関わっています。また、医師であり社会活動家でもあった武見太郎とも交流がありました。

外部リンク

• - 彰古館所蔵史料 一覧表
• - 防衛庁防衛研究所所蔵《衛生・医事関係資料》の調査概要 波多野 澄雄
• - 陸上自衛隊衛生学校

金原節三は、軍医として戦時中を生き抜き、戦後は自衛隊の衛生体制を構築した、日本の医療史に名を残す人物です。

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