草井村

草井村

草井村（くさいむら）は、かつて愛知県葉栗郡に存在した村です。現在の江南市北部にあたる地域に位置しており、具体的には草井、小杁、慈光堂、小脇、村久野、鹿子島、および藤ヶ丘といった区域をその村域としていました。

地理

葉栗郡の最も東に位置しており、村の西側を雄大な木曽川が流れています。地理的には木曽川の左岸にあり、村の北側は岐阜県と接していました。この地理的な特徴から、古くから水運や渡河の要所として重要な役割を担っていました。

歴史

草井村周辺は、古くから木曽川を渡る際の重要な交通拠点の一つでした。特に、鎌倉時代に起こった承久の乱（1221年）においては、鎌倉幕府方の軍勢が京を目指してこの地から木曽川を渡河したと伝えられています。この渡河地点は「草井の渡し」と呼ばれ、近代に入り、愛岐大橋が開通するまで人々の往来を支える交通手段として機能しました。

江戸時代には、この地域は尾張藩の領地の一部でした。ただし、犬山藩として成立した成瀬氏の領地も含まれていました。

行政区画の変遷

草井村の行政区画は、近代において複雑な変遷を経てきました。

• - 1889年（明治22年）10月1日：町村制が施行され、いくつかの村が合併して小草鹿村と村久野村が新たに誕生しました。
• - 1895年（明治28年）9月30日：一度成立した小草鹿村が、草井村と小鹿村の二つに再び分割されました。
• - 1906年（明治39年）5月10日：分割によってできた草井村と小鹿村、そして村久野村が再び合併し、新たに「草井村」として成立しました。
• - 1954年（昭和29年）6月1日：昭和の大合併の一環として、葉栗郡の草井村と宮田町、そして丹羽郡の古知野町と布袋町が合併し、「江南市」が発足しました。これにより、草井村はその歴史に幕を下ろし、江南市の一部となりました。

行政

草井村の役場は、合併後の時期によって所在地が異なりました。

• - 1906年（明治39年）5月の再合併時には、大字小杁の字寺屋敷44番地に村役場が置かれました。
• - その後、1951年（昭和26年）5月時点では、同じく大字小杁の字八幡東46番地に移転していました。

教育

村内には、当時の教育施設として以下の学校がありました。

• - 草井村立草井小学校：現在は江南市立草井小学校として存続しています。
• - 草井村立草井中学校：後に江南市立草井中学校となりましたが、学校再編により現在は江南市立北部中学校の一部となっています。

交通

歴史的に重要な交通の要所であったこの地域は、近現代においても交通網が整備されました。

• - 太平洋戦争後には、名古屋市と草井地域を結ぶ主要な県道として、名草線が建設されました。この道路は、現在の名古屋江南線および江南関線の一部となっています。

草井村は、木曽川の渡し場を中心とした古い歴史を持ち、行政区画の変遷を経て、最終的に現代の江南市を形成する一翼を担いました。

もう一度検索