草部吉見神社

草部吉見神社：歴史と自然が織りなす聖地

熊本県阿蘇郡高森町に鎮座する草部吉見神社は、雄大な自然に抱かれた歴史深い神社です。日本三大下り宮の一つに数えられ、その由緒正しき歴史と、独特の社殿位置から多くの参拝者を惹きつけています。

神話と伝説に彩られた由緒

主祭神は神武天皇の第一皇子、日子八井命（ひこやいのみこと）です。別名、国龍神（くにりゅうじん）、草部吉見神（くさかべよしみのかみ）、年祢神（としのねのかみ）とも呼ばれ、阿蘇神社では三宮として祀られています。

伝承によれば、神武天皇の東征の際、日子八井命は高千穂から五ヶ瀬川沿いにこの地に至り、池の大蛇を退治したと伝えられています。その後、池を埋め立てて宮居を築き、草を束ねて作った館からこの地は「草部」と呼ばれるようになったと言われています。さらに、「此社吉宮床（ここぞよきみやとこ）」と称賛されたことから、「吉見」という社号が生まれたとされています。

独特の景観：百数十段の石段を下る「下り宮」

草部吉見神社は、その名の通り、鳥居から社殿へと続く百数十段の石段が特徴的です。伝承にある「池」の名残を感じさせるこの石段は、社殿が低い位置に鎮座しているため、参拝者は石段を下りながら境内へと進んでいきます。この独特の景観から、「下り宮」と呼ばれ、宮崎県の鵜戸神宮、群馬県の一之宮貫前神社とともに、日本三大下り宮の一つに数えられています。

明治6年には郷社に列せられ、現在も地域の人々から大切に信仰されています。境内には日子八井命をはじめ、十一柱の神々が祀られています。

アクセスと参考文献

草部吉見神社へのアクセスは、南阿蘇鉄道高森線高森駅からタクシーで約35分、または九州自動車道熊本インターチェンジから約53kmです。

神社の歴史や由緒については、以下の文献が参考になります。

熊本県教育会『阿蘇郡誌』熊本県教育会阿蘇郡支会、1926年
鈴木喬『熊本の神社と寺院』熊本日日新聞社、1980年
日本歴史地名大系44『熊本県の地名』平凡社、1985年
阿蘇惟之編『阿蘇神社』学生社、2007年

これらの文献は、草部吉見神社の歴史や伝承、祭神に関する詳細な情報を提供しています。神社の歴史や文化を深く知りたい方は、ぜひこれらの文献を参照してみてください。

まとめ

草部吉見神社は、歴史と自然が調和した、神秘的な魅力を持つ神社です。神武天皇ゆかりの由緒正しい神社として、そして日本三大下り宮の一つとして、訪れる人々に深い感動を与え続けています。雄大な阿蘇の自然の中で、静寂と歴史に浸るひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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