鵜戸神宮

鵜戸神宮について

鵜戸神宮は、宮崎県日南市にある神社で、旧社格は官幣大社、現在は神社本庁の別表神社です。日向灘に面した断崖の中腹にある岩窟内に本殿が鎮座しており、参拝するには崖に沿って作られた石段を下る必要がある、珍しい「下り宮」となっています。周辺の海岸は、波の浸食によって形成された海食洞や波食棚が多く、名勝に指定されています。

社名の由来

「ウド」は、空洞を意味する古語に由来し、祭神名の「鸕鷀（う）」が鵜を指すことから「鵜戸」の字が当てられました。古くは「鵜戸権現」とも呼ばれていましたが、明治時代の神仏判然令により権現号を廃止し、鵜戸神社を経て現在の社名となりました。

祭神

主祭神は、日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊（ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと）です。相殿には、大日孁貴（おおひるめのむち）（天照大御神）をはじめとする皇祖神や神武天皇が祀られています。主祭神降誕の地とされ、縁結びや夫婦和合、子授け、安産などの信仰を集めています。境内には、主祭神の陵墓とされる古墳もあります。

歴史

創建年代は不詳ですが、古代から海洋信仰の聖地であり、社伝によれば、本殿の岩窟は豊玉姫が主祭神を産むための産屋があった場所とされています。崇神天皇の時代に六柱の神を祀って創建され、推古天皇の時代に社殿が建立されたと伝えられています。平安時代には、修験道の一大道場として「西の高野」とも呼ばれる霊地として栄えました。中世以降は伊東氏の崇敬を受け、江戸時代には飫肥藩主による社殿の造替や修復が行われました。明治時代には神仏分離により別当寺院が廃止され、官幣小社、後に官幣大社に列せられました。戦後は神社本庁の別表神社となっています。昭和40年代には新婚旅行の定番地となり、近年では社殿の修復や改修が行われています。

祀官

古くは、別当寺院である仁王護国寺が管掌していましたが、明治時代の神仏分離により廃止されました。別当は天台宗から真言宗、新義[[真言宗]]へと変遷し、仁和寺が所管していました。

神事

江戸時代までは修験道式の修法が行われていましたが、明治以降は神道式に改められました。

シャンシャン馬道中

かつては、新婚夫婦が鈴を付けた馬に花嫁を乗せ、青島から鵜戸神宮まで参詣する「シャンシャン馬道中」という習わしがありましたが、現在はその名残として、一部の催し物で行われています。

境内

鵜戸千畳敷奇岩: 「鬼の洗濯板」とも呼ばれる波状の岩。
八丁坂参道: 吹毛井の港から神門まで続く石段参道。
神門、楼門、千鳥橋、玉橋: 神域への入り口となる建造物。
本殿: 海食洞内にある朱色の社殿。
お乳岩・お乳水: 豊玉姫が乳房をつけたという伝説が残る岩と、そこから滴る水。
亀石: 豊玉姫が海神宮から来訪する際に乗った亀が石になったという伝説が残る霊石。
御船石、二柱岩、社務所、別棟墓地、磨崖仏、吾平山陵（御陵）: その他の境内施設。
ヘゴ自生地: ヘゴの自生北限地帯。
潮干瓊・潮満瓊: 日本神話に登場する宝玉。
念流・陰流発祥の地: 剣術の流派が生まれたとされる地。
筑前琵琶・薩摩琵琶: 当地に発祥したと伝えられる楽器。

境内社

皇子神社: 本殿左側に鎮座し、彦五瀬命を祀る。
住吉神社、火産霊神社、福智神社: 3社が1宇に鎮座。
九柱神社: 複数の神を祀る。
門守社、鵜戸稲荷神社、波切神社、恵比寿神社: その他の境内社。

文化財

天然記念物（国指定）: ヘゴ自生北限地帯
名勝（国指定）: 鵜戸
宮崎県指定文化財: 鵜戸神宮本殿、鵜戸千畳敷奇岩
* 日南市指定文化財: 鵜戸山別当墓地並びに墓、鵜戸山石灯籠のうち紙開発灯籠1対、鵜戸山八丁坂、鵜戸山の磨崖仏

交通

宮崎空港から直通バス、または日豊本線宮崎駅からバスでアクセスできます。

参考資料

佐師朝規『鵜戸神宮』、宮地直一・佐伯有義監修『神道大辞典』、谷川健一編『日本の神々－神社と聖地』、学習研究社『鵜戸神宮 高千穂神社』

関連項目

日南海岸国定公園、宮崎県指定文化財一覧

外部リンク

鵜戸神宮公式サイト、観光にちなんの旅、みやざきデジタルミュージアム、NHKデジタルアーカイブス動画

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