五ヶ瀬川

五ヶ瀬川：神話と自然が織りなす清流

五ヶ瀬川は、九州山地に源を発し、宮崎県北部を流れる一級河川です。その名の由来は、上流にある五つの瀬、「吐ノ瀬」「窓ノ瀬」「あららぎノ瀬」「綱ノ瀬」「大瀬」にちなむという説と、日本神話に登場する五瀬命に由来するという説があります。

地理

五ヶ瀬川は、向坂山の東麓から流れ出し、宮崎県五ヶ瀬町を北へ向かいます。一時的に熊本県山都町に入り、再び宮崎県に戻ると、高千穂町からは南東へと流れを変え、深い峡谷を形成します。この峡谷は、天孫降臨の舞台となった高千穂峡として知られ、多くの観光客が訪れます。その後、岩戸川、日之影川、綱ノ瀬川などの支流を合わせ、延岡平野を東へと進みます。

延岡市に入ると、大瀬川を分派しますが、本流はそのまま東へ流れ、祝子川、北川と合流して日向灘へと注ぎます。本流と分派した大瀬川は、延岡城下を挟むように並走し、河口付近で再び合流します。

歴史と文化

五ヶ瀬川は、古くから人々の生活と密接に関わってきました。特に、延岡市流域で行われる鮎梁漁は、300年以上の歴史を持つ秋の風物詩です。河原に設けられた簗場で鮎を焼く香ばしい香りは、環境省の「日本のかおり風景100選」にも選定されています。

また、大正末期から昭和初期にかけて五ヶ瀬川と大瀬川に築かれた畳堤は、当時の土木技術を伝える貴重な遺産です。現存する約980mの畳堤は、2015年に土木学会選奨の土木遺産に認定され、2016年には「手づくり郷土賞」も受賞しました。これは、地域住民の熱意と努力によって、先人の知恵が現代に受け継がれている証と言えるでしょう。

流域の自治体

五ヶ瀬川が流れる主な自治体は以下の通りです。

宮崎県：西臼杵郡五ヶ瀬町、西臼杵郡高千穂町、西臼杵郡日之影町、延岡市
熊本県：上益城郡山都町

交通

五ヶ瀬川には、国道218号が並行しています。かつては高千穂鉄道高千穂線が並走していましたが、2008年に廃止されました。

その他

畳堤：五ヶ瀬川の治水のために築かれた歴史的な堤防。
ごかせ号：福岡市と延岡・高千穂を結ぶ高速バス。五ヶ瀬川が名称の由来。
* 岩熊井堰：五ヶ瀬川にある農業用水のための堰。

五ヶ瀬川は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な場所です。鮎梁の風景や畳堤など、訪れる人々に感動を与える様々な魅力があります。ぜひ一度、五ヶ瀬川を訪れて、その魅力を体感してみてください。

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