草間時彦

草間時彦（1920年5月1日 - 2003年5月26日）は、大正から平成にかけて活躍した俳人です。東京に生まれ、神奈川県鎌倉市で育ちました。祖父は民権派ジャーナリストで俳人でもあり、父も水原秋桜子に師事した俳人という俳句一家に育ちました。

20歳で結核のため旧制武蔵高等学校を中退し、逗子で療養生活を送る中で文学に傾倒。1949年、水原秋桜子に師事し俳句を始め、同年結婚。1951年には三井製薬に入社し、25年間サラリーマンとして働きながら俳句活動を続けました。1953年に秋桜子の「馬酔木」を退会、1955年には復刊した「鶴」に入会し石田波郷に師事。同年、第2回鶴賞を受賞。俳句だけでなく、随筆や評論でも才能を発揮しました。

1975年、俳人協会常務理事に就任。1976年には「鶴」同人を辞し無所属となります。1978年には俳人協会理事長に就任（1993年まで）。俳句文学館の建設に尽力しました。1987年には鴫立庵第21世庵主となり、同年には訪米。以後、たびたび欧米を訪れ、国際俳句交流協会顧問も務め、国際的な俳句交流にも貢献しました。

1999年、句集『盆点前』で第14回詩歌文学館賞、2002年には句集『瀧の音』で第37回蛇笏賞を受賞。2003年5月26日、腎不全のため鎌倉の病院で逝去しました。

代表句としては、「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」「大粒の雨が来さうよ鱧の皮」などがあります。サラリーマンとしての日常を詠んだ句は「サラリーマン俳句」として、また、無所属となってから好んで作った料理に関する句は「グルメ俳句」として親しまれました。

句風は軽妙洒脱でありながら、その根底には病や戦争、肉親との死別といった経験から培われた、死を身近に感じながら生きる姿勢がありました。晩年には久保田万太郎風のしみじみとした句境に至ったと評されています。

句集

『中年』 竹頭社、1965年
『淡酒』 私家版、1971年
『櫻山』 永田書房、1974年
『朝粥』 東京美術、1979年
『夜咄』 東京美術、1986年
『典座』 永田書房、1992年
『盆点前』 永田書房、1998年
『瀧の音』 永田書房、2002年

選集など

『草間時彦集』 俳人協会〈自註現代俳句シリーズ〉、1981年
『花神コレクション〔俳句〕　草間時彦』 花神社、1994年
『草間時彦集』 俳人協会〈自註現代俳句シリーズ続編〉、1998年
『池畔』 ふらんす堂〈ふらんす堂文庫〉、2003年
* 『草間時彦集』 俳人協会〈脚註名句シリーズ〉、2007年

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