荒川義広

荒川義広の生涯と影響

荒川義広（あらかわ よしひろ）は、戦国時代に活躍した武将であり、甲斐守という称号を持つ人物です。彼は吉良氏の分流から誕生した後期荒川氏の祖であり、多くの歴史的文献に登場します。義広の諱は様々な資料で異なるため、今回は彼を義広として統一して説明します。

略歴

義広は、吉良（東条）持清の次男として生まれました。家督は兄の持広が継いだため、彼は独立して荒川家を開家しました。享禄2年（1529年）には松平清康が吉良荘に攻め込んだ際、彼はこの勢力に降伏しました。ちなみに、荒川城の再建はこの2年前の大永7年（1527年）頃と考えられています。

永禄4年（1561年）、義広は徳川家康の指揮下で東条城主・吉良義昭の攻略に協力しました。その功績により、家康の妹である市場姫を妻に迎えます。その翌年、三河一向一揆が勃発する中で、義広は義昭と共に一向衆に味方して徳川軍との交戦に加わりますが、戦は敗北に終わります。この頃、義広は河内国に逃れたとされています。

その後の彼の行方については諸説あり、病死したとの伝承もあれば、一時的に吉良荘寄近村に隠遁し、1566年に亡くなったとする記録も存在します。たとえば、「三州本願寺宗一揆兵乱記」には、彼が1566年9月22日に亡くなった旨が記されています。

墓所と没年、法名

義広の墓所には様々な情報があり、以下に整理します。まず、愛知県西尾市八ツ面町の真成寺には「荒川氏」「仙林院殿之墳」と刻まれた五輪塔が存在し、ここが彼の墓とされています。没年は永禄8年8月28日であり、法名は仏林院殿前甲斐刕太守 花山洞栄大禅定門です。

他にも法厳尼寺や不退院にも彼の墓が伝わっており、それぞれ異なる法名が付されています。不退院では、彼が戦闘により1567年に戦死したとされ、法名は不退院殿智空上衍大居士とされます。市場姫の墓所もここにあり、夫妻の葬儀が行われました。

諱について

義広についての諱には多くの説が存在しますが、彼の後期荒川氏の系図には信頼できる情報が欠如しているのは、子孫が断絶したためとされています。彼の諱としては「義広」の他に、義弘や頼持、義虎などといった名称も見られます。

義広の子孫

義広の直系子孫は、尾張藩の家臣として名を運んでいます。『士林泝洄』によれば、彼の子供としては次郎九郎弘綱や平右衛門家儀、木崎殿が挙げられます。弘綱は徳川家康に仕官し、三千石を与えられるも、子孫は絶え、平右衛門家儀も家康に仕えた後、子孫は尾張藩士となりました。

真成寺

真成寺は義広によって11562年に建立された寺院であり、彼の開基としての歴史的意義を持っています。義広の名は今なお、彼の建立した寺院を通じて伝えられています。

全体として、荒川義広は戦国時代の大きな影響を持った武将であり、彼の生涯は多くの謎に包まれながらも、その足跡は歴史にしっかりと刻まれています。

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