荒木和成

荒木和成：千葉市の発展に尽力した市長

荒木和成（あらき かずしげ）は、1905年（明治38年）8月8日に生まれ、1977年（昭和52年）5月24日に亡くなった、昭和期の日本の弁護士、政治家です。千葉市長を2期務め、その市政運営は今日の千葉市の礎を築いたと言えるでしょう。

生涯

旧制浦和高等学校を経て、1929年3月に東京帝国大学法学部法律学科（仏法）を卒業。同期には後に総理大臣となる福田赳夫がいました。1930年10月には高等試験行政科試験に合格し、1932年6月に内務省に入省。厚生省国民保健課長や和歌山県副知事などの要職を歴任しました。1958年に弁護士として活動を始め、翌年には和歌山県知事選に出馬するも落選。その後、1962年12月に千葉市助役に就任し、政治の世界に再び足を踏み入れました。

1972年の千葉市長選挙では、自民党県議だった吉原鉄治との保守分裂の中、初当選を果たします。1976年の市長選では、社会・共産・公明3党から支援を受けた佐久間彊を破り再選を果たしますが、再選から間もない1977年5月24日、夫人と共に花見川沿いを散歩中に心筋梗塞で倒れ、71歳で生涯を閉じました。

千葉市長としての施政

荒木和成が市長を務めた時代、千葉市では新東京国際空港（現在の成田国際空港）のための航空燃料パイプライン埋設工事計画が進められていました。しかし、地元住民の間では反対運動が激化。そのような状況の中、1972年1月14日に千葉市議会特別委員会が機動隊に守られながらパイプライン埋設賛成を強行採決。新東京国際空港公団との間で、環境整備費11億円の支払いに関する密約を交わした荒木は、3月15日に工事のための道路占用許可を出しました。ところが、工事が開港に間に合わない見通しとなったため、空港公団は7月に鉄道による暫定輸送の方針に転換。千葉市への支払いがなされないままの方針転換に激怒した荒木は、工事を差し止め、原状回復を命じ、密約の存在を暴露しました。この一連の出来事は、パイプライン工事の停滞を招き、成田空港の開港を大幅に遅らせる要因の一つとなりました。

パイプラインと暫定輸送問題に翻弄された荒木は、国と市の板挟みという複雑な立場に置かれ、選挙が近づく中で航空燃料輸送問題の決断を迫られる中、急逝しました。

人物と逸話

助役時代を含め、15年間にわたり千葉市の発展に尽力した功績を称え、1977年5月24日には名誉市民第3号に選ばれました。花見川にかかる浪花橋の袂には、「千葉市長 荒木和成　終焉の地」と記された祠が建てられています。また、荒木の自宅の目の前にあった花見川は、航空燃料パイプラインの新たなルート候補となっており（後に本格的なパイプライン工事で採用）、彼が急逝した際、自宅の机には燃料輸送に関するメモが残されていました。当時、運輸大臣や佐藤文生らとの間で航空燃料輸送問題の調整が進められていたため、荒木の急逝は関係者に衝撃を与えましたが、補欠選挙で荒木の補佐をしていた松井旭が当選し、同年9月14日に暫定輸送の協定が結ばれました。

荒木和成は、その生涯を通じて千葉市の発展に尽力しただけでなく、困難な問題に立ち向かい、その解決のために力を尽くした人物でした。彼の功績は、今もなお千葉市民に語り継がれています。

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