荒木太郎

荒木太郎：大衆に寄り添うピンク映画の異端児

荒木太郎（1961年2月16日生まれ）は、映画監督、脚本家、そして俳優として、日本の映画界、特にピンク映画の世界で独自の足跡を残しました。彼は、池島ゆたか、吉行由実、国沢実と並び、20世紀末以降の大蔵映画におけるピンク映画監督の「四大巨匠」の一人とされています。

経歴

荒木は1981年に映画業界にエキストラとして足を踏み入れました。1985年からは国映スタジオで裏方としてのキャリアをスタートさせ、北沢幸雄監督の『濡れた処女 ワイセツ暴行』や佐野和宏監督の『最後の弾丸』（公開題：監禁 ワイセツな前戯）など、数々の作品で助監督を務めました。また、彼は監督作品だけでなく、他の監督の作品にも俳優として出演し、1995年には『パレード』での演技が評価され、ピンク大賞の男優賞を受賞しています。

監督としてのデビューは1996年の『異常露出・見せたがり』。荒木の映画製作における姿勢は、過去20年間のピンク映画界を彩ってきた「ピンク四天王」や「ピンク七福神」といった著名な監督たちとは一線を画していました。彼は、映画製作に対するより大衆的な動機を抱き、一部の批評家やファンを満足させるためではなく、劇場に足を運ぶ観客、特に地方の観客を楽しませることを重視しました。

しかし、荒木はその才能と努力によって、ピンク大賞においても成功を収めています。2000年には『せつなく求めて‐OL編‐』が男優賞、新人監督賞、そして作品賞第1位を獲得。翌2001年には『義姉さんの濡れた太もも』で監督賞を受賞しました。さらに、彼の作品の多くが、毎年のピンク映画大賞のトップテンリストに名を連ねています。

映画評論家の柳下毅一郎は、荒木の作風を「メルヘンチックな叙情性」と評しています。

2018年には、荒木が監督した映画『ハレンチ君主 いんびな休日』の上映が劇場支配人の意向で中止となる事態が発生。2020年11月11日には、この上映中止を巡り、新潮社と大蔵映画に対し損害賠償などを求める会見を開きました。

主な作品

荒木太郎は、数多くの作品を手がけています。

林由美香 歌舞伎町イメクラ物語（1994年）
異常露出・見せたがり（1996年）
あふれる淫ら汁（1996年）
ヒクヒクする女　見られたい（1996年）
真性痴女といじくり家族（1996年）
監禁　むきたて肉玩具（1996年）
せつなく求めて‐OL編‐（2000年）
義姉さんの濡れた太もも（2001年）
お友達になりたい（2004年）
美肌家政婦　指責め濡らして（2004年）
癒しの遊女　濡れ舌の蜜（墨東綺譚）（2010年）
乱交の門　むさぼり調教（2014年）

受賞歴

ピンク大賞
2000年 1位:せつなく求めて‐OL編‐
2001年 4位:義姉さんの濡れた太もも

ピンキーリボン賞
* 2004年 ゴールドぴんく賞:美肌家政婦 指責め濡らして

荒木太郎は、大衆性を追求しながらも、独自の叙情性を織り交ぜた作品で、ピンク映画界に新たな風を吹き込んだ監督として、その名は記憶されるでしょう。

もう一度検索