国映

国映株式会社の歴史と影響

国映株式会社（こくえい）は、1958年に矢元照雄によって東京で設立された映画制作会社です。主にピンク映画の制作で知られ、日本国内で最大のエロダクションとも称されています。この会社は、映画業界に多大な影響を与える存在であり続けてきました。

前身と初期の活動

国映の前身は、大和映画であり、矢元は1955年にこの会社を立ち上げました。大和映画時代の傑作として知られる『われ真珠湾上空にあり 電撃作戦11号』が1957年に公開され、わずか800万円の製作費で7000万円もの収益を上げました。この成功は、国映設立の基盤を築くことに繋がりました。

国映は初期には文芸作品や教育的な要素を重視していましたが、テレビの普及により映画の需要が減少する中、お色気をテーマにした映画制作にシフトし始めました。多くの小規模プロダクションがエロスを売りにした短編映画を制作した時期に、国映もその流れに乗り始めました。これにより、「エログロ」と呼ばれる娯楽中心の作品が増加し、一般大衆に受け入れられることとなりました。

テレビアニメへの進出

1960年代には、国映は自社でテレビアニメ事業にも参入しました。日本放送映画という関連会社を設立し、日本テレビ専属のアニメ制作部門を始めました。1966年にはこの部門が独立し、『戦え!オスパー』を始めとするテレビアニメシリーズが制作されました。この作品は日本テレビ初の連続アニメとされ、広く視聴されました。

ピンク映画の黄金時代

1965年には、矢元の息子である矢元一行のプロデュースによって、若松孝二や大和屋竺が起用された作品が多数ヒットしました。特に、若松が手がけた『情事の履歴書』は3000万円の興行成績をあげ、続編も多数制作されました。この時期、国映は大蔵映画と並んで日本有数のピンク映画制作会社としての地位を確立しました。

1980年代にはピンク映画の低迷期が訪れましたが、その中からピンク四天王やピンク七福神と呼ばれる若手監督が登場し、新たな風を引き入れることで、国映は映画界で再び注目されるようになりました。特にこれらの若手監督は国映をメインフィールドとして活躍し、ピンク映画に新しいスタイルをもたらしました。

知名度向上と映像制作の変革

国映はフィルムからデジタル制作へ移行し続け、2013年には完全にデジタル制作に移行しました。しかし、国映は今もなお伝統的な35ミリフィルムでのピンク映画制作にこだわり続け、多くの名作を生み出してきました。最近では、過去のフィルム修復やデジタル化のプロジェクトも進行中で、ベルリン国際映画祭で修復作品が上映されるなど、新しい世代へ作品の価値を伝えています。

注目すべき事件と挑戦

国映の歴史の中で、いくつかの事件も起こりました。1960年代初頭、矢元照雄はMGM配給のアメリカ映画のフィルムを無断で配給した「MGM事件」を引き起こし、FBIの捜査対象となり、結果的に罰金刑を受けました。また、1963年に国映が配給した作品『セクシールート63』は公然わいせつの疑いで摘発され、社長や社員全員が逮捕される事件も発生しました。このような社会的影響を受けつつも、国映はその後も映画制作を続け、興行成績を上げていきました。

現在の国映株式会社

現在では、国映は映画制作の他にも、試写室の営業やフィルム保存プロジェクトなどを行っています。かつてのヒット作品が再発見されたことで、修復やクラウドファンディングプロジェクトも開始され、新たな可能性に挑戦しています。国映株式会社の活動は、これからも日本の映画業界に貢献し続けることでしょう。

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