荒谷桂吉

荒谷桂吉：激動の時代を駆け抜けた秋田の先覚者

荒谷桂吉（あらや けいきち）は、嘉永6年5月6日（1853年6月12日）に出羽国秋田郡大葛村（現・秋田県大館市比内町大葛）に生まれ、昭和9年（1934年）2月14日に没しました。幕末から明治という激動の時代に、実業家、政治家として多岐にわたり活躍した人物です。衆議院議員、秋田県会議長、大葛村長などを歴任し、地域社会の発展に大きく貢献しました。諱は富延、号は葛渓、檗堂と称しました。

大葛鉱山と荒谷家の歴史

荒谷家は代々、大葛鉱山を支配しており、桂吉は13代当主にあたります。10歳で父を亡くし、家督を相続して鉱山経営を引き継ぎましたが、明治3年（1870年）に大葛鉱山は久保田藩の所有となりました。

学びと実業の世界へ

失意の中、桂吉は学問に励み、大館の儒者・中田錦江に師事して漢学を修めました。その後、上京して慶應義塾（現・慶應義塾大学）で学び、明治8年（1875年）に卒業。帰郷後は、発盛鉱山や花輪鉱山の経営に携わる傍ら、山林業、養蚕業、畜産業などにも投資し、実業家としての才能を開花させました。また、農業にも従事し、地域経済の発展に尽力しました。

政治家としての足跡

明治13年（1880年）10月、秋田県会議員に選出され、政治の世界へ足を踏み入れます。最初の任期はわずか6ヶ月で辞任しましたが、明治15年（1882年）2月に再選され、明治25年（1892年）2月まで県会議員を務め、この間、県会副議長も務めました。明治25年（1892年）2月には、第2回衆議院議員総選挙（秋田県第2区）で当選し、国政へと進出しました。その後も、明治28年（1895年）9月に県会議員に再選され、明治32年（1899年）9月まで2期在任し、県会議長を務めました。明治34年（1901年）には大葛村長に選出されましたが、3日間で辞任しています。

明治37年（1904年）3月、第9回衆議院議員総選挙（秋田県郡部、憲政本党）で再び当選を果たし、第10回総選挙でも当選。衆議院議員として通算3期を務め、犬養毅と行動を共にするなど、政治家として確固たる地位を築きました。

政界引退後の生活

後に町田忠治に地盤を譲り、政界を引退。引退後は、乗馬、伝書鳩の飼育、盆栽などを楽しむ悠々自適な生活を送りました。

親族

長男の荒谷夷一も大葛村長を務め、地域社会に貢献しました。

荒谷桂吉は、激動の時代を生き抜き、秋田県の発展に大きく貢献した人物です。その功績は、今もなお語り継がれています。

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