荘厳寺 (土岐市)

荘厳寺（しょうごんじ）

荘厳寺は、岐阜県土岐市鶴里町柿野に位置する曹洞宗の寺院です。山号を寶樹山と称します。

歴史

開創

荘厳寺の歴史は、天正9年（1581年）に越後春日山林泉寺の長道大安が餅ヶ洞に雲龍山大安寺を建立したことに始まります。この寺が、後の荘厳寺の前身となります。

移転と改称

明暦3年（1657年）5月、四世住職となった快岳中慶は、寺を現在地に移転し、神請山荘厳寺と改称しました。この時、本尊が安置され、十王堂、観音堂、薬師堂、庚申堂、法華供養塔、名号碑などが建立されました。これにより、荘厳寺は本格的な寺院としての姿を整えました。

江戸時代の発展

享保16年（1731年）3月には、六世住職の牧翁傳中が庫裏と土蔵を建築しました。元文5年（1740年）4月には、八世住職の密峰察穏が本堂を再建しました。天明6年（1786年）1月には、九世住職の霊凰金翎の代に、名古屋本町の鈴木良水翁から125両と畳、建具などが寄進されました。また同年には、山城国石清水八幡宮の築山将監の母、智照尼が霊凰金翎の尊像を寄進しました。天明7年（1787年）には、庫裏が落成しました。

寛政元年（1789年）4月、十一世住職の衝天補道は、下総国にある関三刹の總寧寺へ転住しました。寛政4年（1792年）12月には、寺格が上がり法地となり、霊凰金翎が「法地開山」となりました。寛政5年（1793年）2月には、林弥次郎が、大般若経600巻を寄贈し、3月には犬山藩の三上利助が大梵鐘を寄贈しました。また8月には、越前国敦賀郡の永建寺檀徒の髙嶋屋久兵衛が本尊の薬師如来に金燈を寄贈しました。寛政8年（1796年）9月、十二世住職の教外黙宣は、近江国の長福寺に転住しました。

文化5年（1808年）5月、十四世住職の良道祖玄の代には、尾張との国境にある雨沢集落について、尾張春日井郡上品野村の祥雲寺との間で争論が起こりました。同年12月17日には火災によって伽藍が焼失してしまいました。文化10年（1813年）10月、十五世住職の佛仙玄了の代に伽藍の再興が成されました。文政10年（1827年）4月、十七世住職の梅峯義宗は、羽前国の向川寺へ転住し、天保15年（1844年）、十八世住職の丹岡生嶽も、羽前国の向川寺へ転住しました。嘉永2年（1849年）2月16日、十九世住職の曹屋義俊の代に阿羅漢・弥勒菩薩像が安置されました。

近代以降

慶応4年/明治元年（1868年）、二十世住職の禅源道悦は、神仏判然令により、観音堂と十王堂を寺内に移転しました。明治24年（1891年）10月28日に発生した濃尾地震で諸堂が大きな被害を受けました。明治30年（1897年）、二十一世住職の大礎彦勇が位牌堂を建立、明治45年（1912年）には石段と土蔵を建立しました。大正3年（1914年）、二十二世住職の温良彦隆は、横浜市の陽光院へ転住しました。

昭和26年（1951年）4月、二十四世住職の楚圭倫正は、太平洋戦争で供出したため失われていた梵鐘を再鋳しました。これにより、寺の景観は再び整えられました。

寺宝

荘厳寺には、以下のような貴重な寺宝が伝えられています。

曹海禅師の肖像（越後国新発田藩主の溝口出雲守筆）
踊布袋の図（狩野探幽筆）
達磨の図（狩野探幽筆）
息（毛利甲斐守から霊凰金翎和尚に寄贈のもの）
阿蘭陀焼鉢（同上）
金蒔絵香炉（同上）
絨氈2枚（同上）
一切経全部

これらの寺宝は、寺の歴史と文化を今に伝える貴重なものです。

境内

荘厳寺の境内には、本堂、開山堂、禅堂、庫裏、土蔵などの建物があります。これらの建物は、寺の歴史と風格を今に伝えています。

関連リンク

寶樹山 荘厳寺
寶樹山 荘厳寺巖

参考文献

* 『土岐市史 2 (江戸時代～幕末)』　第十五編 江戸時代の宗教　第四章　徳川幕府の神道政策　10 神社・寺院調　p374～p386　土岐市史編纂委員会　1971年

脚注

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