荘川桜

荘川桜：岐阜県の英雄的な古桜

荘川桜（しょうかわざくら）は岐阜県高山市の荘川町中野に位置する、樹齢450年とされる2本のエドヒガン桜のことです。これらの桜は元々、御母衣ダムの建設に伴い水没する運命にありましたが、1960年に移植され、現在は岐阜県の指定天然記念物となっています。

荘川桜の特徴

荘川桜の特徴は、淡いピンク色の花びらとごつごつした老幹です。樹高は約20メートル、幹の周囲は約6メートルにもなります。桜の古木として、その美しさと歴史から多くの人々に親しまれています。

大移植工事の背景

1960年、御母衣ダムの建設が始まると、ダム建設事業に関わった電源開発株式会社（Jパワー）の初代総裁、高碕達之助氏は、桜が水没することを知り、桜を救うための移植を提案しました。有名な桜研究家で「桜男」と称される笹部新太郎氏に協力を依頼し、当初はその困難さから彼は断りましたが、高碕氏の情熱に引き込まれ、最終的には移植プロジェクトを引き受けることになりました。

移植工事は、日本の桜移植技術のトップを自負する庭正造園の職人、丹羽政光氏らによって行われ、従来の手法に挑戦する新たな技術が用いられました。しかし、樹齢400年以上の巨大な桜を移植する難易度は非常に高く、移植時には桜の幹や根をできるだけ剪定しました。この作業に対し、地域からは「むごい仕打ち」との批判もありました。

活着とその後の保護活動

移植後、1961年の春には桜が無事に活着したことが確認され、その努力は実を結びました。1962年には、移植を記念して「荘川桜」と命名されました。その後、電源開発による継続的な保護管理が行われ、桜は年々成長し続けています。元住民たちは、桜に寄り添って泣いたといわれるほどこの木は彼らの心に残っており、春になると「ふるさと友の会」が集まる場所となっています。

現在の荘川桜

今日、荘川桜は見事に花を咲かせ、年間約5万人の観光客が訪れます。桜の周辺には、やはり桜の種から育てられた二世桜も植えられ、毎年4月下旬から5月中旬にかけて美しい花を楽しむことができます。開花時にはライトアップも行われ、幻想的な景色が広がります。

移植時の映像や歴史は、御母衣ダムの眼前にある「MIBOROダムサイドパーク 御母衣電力館・荘川桜記念館」で展示されており、訪れた人々はその背景を知ることができます。

さくら道の誕生

荘川桜の魅力を伝えたい一心で、国鉄バスの車掌が名金線の沿線に桜を植え続けたことから、名金線は「さくら道」と名付けられました。これにより、地域の桜への愛着と誇りが育まれています。

アクセス

荘川桜を訪れるには、高山駅からバスを利用し、国道156号を6kmほど歩く必要があります。また、自家用車では荘川ICから国道156号を通り、約6分で到着できます。これらの交通手段を用いて、この歴史的な桜を是非訪れてみてください。

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