荻昌弘

荻昌弘 (おぎ まさひろ) の人物像

荻昌弘は、1925年8月25日に東京で生まれた、日本の著名な映画評論家、料理研究家、オーディオ評論家、旅行評論家です。彼は特にテレビ番組『月曜ロードショー』の初代解説者として知られ、独特の落ち着きのある解説が視聴者に親しまれました。また、映画以外の分野でも広範な活動を展開し、多才な人柄をうかがわせます。

幼少期からの映画愛

荻は東京の小石川区で生まれ、兄姉の中では長男でした。裕福な家庭に育った彼は、物心つく前から映画に親しみ、やがてその愛好が批評家としての道につながります。映画館のポスターを暗記したり、名作映画の断片を集めて楽しむ姿が見られ、映画への情熱は幼少期から明確でした。しかし、父親である職業軍人から映画鑑賞を禁じられるなど、反抗的な一面も見せていました。

教育と戦争体験

荻は旧制開成中学校に入学しますが、成績は振るわず、そのことが彼に屈辱的な思いを与えました。そんな中で、作文に対する評価が彼に自信を与え、文筆活動を志すきっかけとなったのです。戦争中は、工場での勤労動員も経験し、厳しい環境の中で学びを得ました。戦後は東京帝国大学に入学し、そこで映画に対する知識を更に深めていきます。

映画評論家としてのキャリア

荻は大学在学中に映画批評を始め、卒業後はキネマ旬報社に入社しました。その後、彼は『映画旬刊』『月曜ロードショー』を通じて広く知られるようになります。視聴者との対話を重視した彼の解説スタイルは、多くの人々に好評を博しました。

さらに、彼は、テレビにおいても独特の存在感を発揮し、谷川俊太郎や松山善三などとともに活動しました。時には辛口の批評を行いつつも、映画の魅力を深く考察する彼の姿勢は、多くのファンを惹きつける理由の一つとなりました。

料理・食文化への愛

荻は料理にも造詣が深く、「男の料理」の先駆者として知られます。自らさつま揚げやコンビーフを作り、自宅で独自の料理を楽しむスタイルも、多くの読者に影響を与えました。食通と呼ばれることは自分のスタイルに合わないと感じつつも、料理に対する情熱は並々ならぬものであり、そのこだわりは多くの著書に反映されています。

人生の終焉と遺産

1988年、荻昌弘は肝不全により62歳でこの世を去ります。彼の蔵書は京都文化博物館に寄贈され、「荻昌弘文庫」として保存されています。また、故人を偲ぶために設けられた「ダイヤモンド大賞（荻昌弘賞）」は、彼の功績を讃えるものとして今も続いています。荻の作品や思想は後進の評論家たちにも影響を与え、彼の存在は日本の映画評論界に刻まれています。

まとめ

荻昌弘は、その多才ぶりで日本の文化シーンに多大な影響を与えた人物です。映画に対する深い理解、多彩な活動に裏打ちされた彼の言葉は、映画愛好家や料理ファンにとって天才的な源泉となりました。彼の業績は、今なお日本の映画文化の中で生き続けています。

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