莫目

莫目（まくも）について

莫目（まくも）は、高麗楽および百済楽において使用されていた伝統的な楽器です。この楽器は『莫牟』とも表記され、特に縦笛の一種とされていましたが、残念ながら現在はその実物は存在していません。そのため、具体的な形状や演奏法についての情報はほとんど残されていないのが現状です。

歴史的背景

『類聚三代格』に基づくと、809年3月21日に発布された太政官符において、雅楽寮や雑楽師が定められ、その中に高麗楽師や百済楽師の名称が見られます。そして、その中の楽師たちの中に莫目師の名も見受けられました。このことから、莫目は当時の雅楽における重要な位置を有していたことが伺えます。

また、848年の嘉祥元年9月22日に発布された同様の太政官符でも、雅楽寮における雑色生（さまざまな楽器を演奏する人々）の指導が減少するべきとの見解が表明され、ここでも高麗楽生や百済楽生の中に莫目生の名が見られることから、莫目が両楽器の演奏において重要な役割を果たしていたことを示しています。

楽器の分類

『倭名類聚鈔』では、莫目は管籥（かんこう）の一部として分類され、歌儛品目の中でもその類に属しているとされる記述が存在します。このことから、莫目が音楽的な演奏においてどのような役割を果たしていたのかを理解する手助けとなることでしょう。

しかしながら、具体的にどのような音色や演奏スタイルであったのかは、実物が存在しないため、詳細にわかる情報は非常に限られています。このため、モノとしての莫目はその存在を喪失していますが、歴史的な記録に残る限りは我々の記憶の中に生き続けています。

まとめ

莫目は、高麗楽および百済楽において重要な役割を果たしたとされる楽器であり、その存在は弦楽器や吹奏楽器の発展に寄与した可能性が考えられます。とはいえ、この楽器がどのようなものであったのかは、今では想像の域を出ません。今後も、今は消えてしまった楽器たちの記録を追い求め、日本の音楽文化の深層に迫っていきたいものです。本記事では莫目についての基本情報をまとめましたが、さらなる研究がこの楽器の詳細を明らかにすることを期待しています。

参考文献

この内容は、おもに『グローバル世界大百科事典』に基づいており、その情報はダウムを通じてGFDLまたはCC BY-SA 3.0で公開されています。

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