高麗楽

高麗楽（こまがく）について

高麗楽は、中国から伝来し、朝鮮半島を経由して日本で発展した雅楽の一形式であり、元々は新羅楽や百済楽といった細かなスタイルが存在しましたが、後に高麗楽としてまとめられました。高麗楽は日本の古典音楽であり、特に宮廷音楽として重要な役割を果たしてきました。

高麗楽のルーツ

高麗楽の起源は、紀元前108年にさかのぼります。この時、漢の武帝は朝鮮半島に植民地を設置し、高句麗に対して楽器や楽人を提供しました。この歴史的背景の中で、高句麗の人々は音楽や舞に親しむようになり、その様子が記録に残されています。宋代には高麗楽が百済楽とともに広く知られるようになり、その後、中国王朝の音楽の一環として受け継がれ、日本にも伝わり、高麗楽として確立されました。

歴史的文献に見る高麗楽

「高麗楽」という名称は、『日本書紀』に初めて登場し、天武天皇の時代（683年）に言及されています。この文献によると、楽師の数や楽器の種類について具体的な指示があり、高麗楽の重要性が示されています。例えば、大同4年（809年）には高麗鼓師の設置が示されており、楽師の人数は時代と共に変遷しました。

また、天平3年（731年）には「雅楽寮の雑楽生の員を定む」との記述があり、高麗楽の楽生の数が8人から20人にまで増加する例も見受けられます。これは高麗楽の地位が次第に確立された証と言えるでしょう。

平安時代の高麗楽

平安時代には、百済楽や新羅楽と統合され、より完成された形として高麗楽が形成されました。左右の楽が存在する中で、高麗楽の位置づけがより明確となり、その後の発展を支えることになります。

嘉祥元年（848年）においては、百済楽・新羅楽の楽生が減少したにも関わらず、高麗楽はそのまま維持されたことからも、この時代における高麗楽の重要性が伺えます。

高麗楽の演奏

高麗楽に使用される楽器には、高麗笛、篳篥、三鼓、鉦鼓、太鼓があります。楽曲は高麗壱越調、高麗平調、高麗双調の3種類の調を用い、それぞれが唐楽の調よりも高い音域を持つ特性があります。特に、拍子には高麗四拍子、揚拍子、唐拍子の3種類があり、高麗楽が唐楽と異なる特徴を持つことが分かります。

演奏は、すべて舞楽として構成され、曲は高麗楽の古楽譜に記録されています。かつて使用されていた莫目という楽器は現在では存在しなくなっていますが、高麗楽の演奏スタイルや楽器の組み合わせは、広く理解されてきました。

参考文献と関連項目

高麗楽についての詳細な情報は多くの文献に記されており、特に『日本書紀』や関連の現代語訳、新訂版の辞典等によって補完されています。また、新羅楽や百済楽、唐楽などの関連事項として、高麗楽の背景を理解する手助けとなります。

高麗楽は、日本の音楽文化において重要な位置を占めており、その音楽的特性や歴史的経緯は今もなお研究が続けられています。

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