菅原和孝

菅原和孝について

菅原和孝（すがわら かずよし、1949年生まれ）は、日本を代表する人類学者であり、京都大学の名誉教授として広く知られています。東京都で生まれ育った彼は、京都大学の理学部を1973年に卒業し、大学院の理学研究科では1980年まで学びました。

学術的な経歴

菅原氏は1980年に北海道大学文学部で助手としてキャリアをスタートし、その翌年にはエチオピアのアヌビスヒヒとマントヒヒの種間雑種についての学位論文を京都大学に提出し、理学博士の学位を取得しました。その後、京都大学教養部の助教授、さらに総合人間学部の助教授と昇進し、1997年には教授に昇格します。2003年に人間・環境学研究科教授となり、2015年に京都大学を退任し名誉教授となりました。

受賞歴

彼の研究業績は高く評価されており、2013年には第8回日本文化人類学会賞を受賞しました。

研究分野と業績

当初は霊長類学者としてニホンザルやヒヒの行動研究に取り組んでいましたが、後にカラハリ砂漠のブッシュマンについての研究に転向しました。モーリス・メルロー＝ポンティの影響を受け、彼の研究は実証主義と現象学に基づいた議論を展開しています。具体的なフィールドワークでは、次のようなテーマを扱いました：

• - 近接と身体接触（1982-1983年）
• - 訪問と挨拶（1984-1985年）
• - 日常の社会的相互作用（1987-1992年）
• - セクシュアリティと個人名の民族誌（1992-1997年）
• - 身体資源論、生活史の語り（1994-）

彼はまた、日本の会話をビデオで記録し、動作と発話の関連について探求しています。1999年からは静岡県水窪町の重要無形民俗文化財「西浦の田楽」の調査を行い、身体技法の伝承に関する考察も行っています。

更に、彼はペンネーム「鳥羽森」としてSF小説『密閉都市のトリニティ』も執筆しており、その活動は多岐にわたります。

著作

菅原和孝の著作には以下のようなものがあります：

• - 『身体の人類学：カラハリ狩猟採集民グウィの日常行動』（1993年、河出書房新社）
• - 『語る身体の民族誌：ブッシュマンの生活世界 I』（1998年、京都大学学術出版会）
• - 『会話の人類学：ブッシュマンの生活世界 II』（1998年、京都大学学術出版会）
• - 『感情の猿＝人』（2002年、弘文堂）
• - 『狩り狩られる経験の現象学：ブッシュマンの感応と変身』（2015年、京都大学学術出版会）

彼の作品は、実証的な研究と人類学的洞察を融合させており、特にブッシュマンに関する彼の考察は国際的にも評価されています。彼の影響は学問の枠を超え、文化や社会の理解に寄与し続けているのです。

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