菊原初子

菊原初子（きくはら はつこ）

菊原初子（本名: 布原初、1899年1月17日 - 2001年9月12日）は、日本の地歌箏曲演奏家であり、野川流三弦古生田流菊原家の4代目を務めました。その卓越した技能と長年にわたる活動は、日本の伝統音楽界において高く評価され、人間国宝に認定されています。

生涯

大阪府大阪市船場伏見町に、芸能一家の一員として生まれました。祖父は菊植明琴、父は3代目菊原琴治という環境で育ち、幼い頃から音楽に親しみました。父から手ほどきを受け、1919年には野川流三絃の秘曲、生田流箏曲の組歌全曲の巻物を伝授されました。この頃から、地歌箏曲の演奏家としての才能を開花させていきます。

また、菊原初子は舞踊の世界にも足を踏み入れ、山村流の地唄舞の地方（じかた）としても活躍しました。地唄舞とは、三味線や箏などの伴奏に合わせて舞う日本の伝統芸能であり、菊原初子は演奏家として舞台を支えました。

長年にわたり、当道音楽会の会長を務め、また大阪音楽大学の名誉教授として後進の育成にも尽力しました。多くの門下生を育て、日本の伝統音楽の発展に貢献しました。

業績

菊原初子の最大の功績は、四十数年を費やして最古の三味線音楽である「組歌」の楽譜化と録音を行ったことです。組歌は、江戸時代以前から伝わる古い形式の三味線音楽であり、その旋律や歌詞は口伝で伝えられてきました。菊原初子は、散逸の危機にあった組歌を詳細に記録し、楽譜としてまとめ上げました。また、自ら演奏した組歌を録音し、後世に残る貴重な音源として保存しました。

これらの活動を通じて、菊原初子は組歌の保存と普及に大きく貢献しました。組歌は、現代の音楽家や研究者にとっても重要な資料となり、日本の伝統音楽の研究に欠かせないものとなっています。

受賞歴

菊原初子の長年にわたる音楽活動は、数々の賞によって称えられています。

1967年 - 芸術祭奨励賞
1969年 - 大阪芸術賞
1969年 - 勲五等宝冠章
1973年 - モービル音楽賞
1976年 - 芸能功労者表彰
1985年 - 勲四等瑞宝章
* 1979年 - 重要無形文化財保持者（人間国宝）認定

これらの受賞歴は、菊原初子が日本の伝統音楽界に与えた影響の大きさを物語っています。

菊原初子は、2001年に102歳で亡くなりましたが、その功績は今もなお、日本の音楽界に深く刻まれています。彼女の演奏と研究は、後世の音楽家や研究者に受け継がれ、日本の伝統音楽の発展に貢献し続けています。

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