菊地規

菊地 規（きくち のりみ）

日本の教育者であり、著名な作詞家としてもその名を刻む人物、菊地 規は、1923年（大正12年）2月17日に岩手県江刺郡田原村（現在の奥州市の一部）に生を受けました。1989年（平成元年）1月26日に65歳で逝去するまで、彼は教育と音楽という二つの分野でその才能を発揮しました。

生涯

学歴と初期キャリア

菊地は郷里岩手で青春時代を過ごしました。岩手県立水沢農学校を卒業後、岩手師範学校（現在の岩手大学教育学部）に進学し、教育者への道を歩み始めます。師範学校卒業後、彼は教育者としてキャリアをスタートさせ、当初は羽田、藤里といった国民学校で教鞭を執りました。その後、藤里中学校や厨川中学校でも教壇に立ち、次世代の育成に情熱を注ぎました。

「北上夜曲」を巡って

彼の名が全国的に知られるきっかけとなったのは、作詞家としての活動、中でも「北上夜曲」の存在です。この歌は、彼が水沢農学校に在学していた学生時代に作詞したものです。当初は地元の一部の男子学生の間で静かに歌われる存在でしたが、戦後、歌声喫茶などを通じて「作者不詳の曲」として徐々に広まっていきました。そして1961年（昭和36年）に至り、この曲が突如として大ヒットを記録します。この大ヒットを受け、同年には日本音楽著作権協会の正会員となり、1963年（昭和38年）には日本作詞家協会にも名を連ねました。彼の青春時代の創作が、時を経て多くの人々に愛される歌謡曲となったのです。

教育行政と校長としての職務

教育者としてのキャリアも順調に進みました。1967年（昭和42年）には岩手県教育委員会の社会教育主事として、地域の教育振興に携わります。その後、葛巻小学校や雫石中学校の校長を務め、学校運営の中心を担いました。教育現場の第一線で長年活躍した後、1983年（昭和58年）に緑ヶ丘小学校長として定年退職を迎えました。

定年後の活動と晩年

教育者としての現役を退いた後も、菊地は社会教育分野での貢献を続けました。岩手県社会教育指導員協議会の会長や、県民運動協議会の参事などを歴任し、地域の教育・文化活動の発展に尽力しました。私生活では、岩手大学教授で医学博士でもあった鷹觜テルを姉に持ち、学術分野に貢献した肉親を持っていました。晩年は肺がんと闘病し、1989年（平成元年）1月26日にその生涯を閉じました。

菊地 規は、「北上夜曲」という不朽の名曲を残した作詞家として、また岩手県の教育現場で多くの児童生徒を育て、地域の社会教育に貢献した教育者として、後世にその功績を伝えています。

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