菊池勇夫 (法学者)

菊池勇夫について

菊池勇夫（きくち いさお）は、1898年6月21日に岩手県遠野市で生まれ、1975年7月13日に逝去した、日本の法学者です。九州大学の名誉[[教授]]であり、日本学士院の会員でもありました。専門は労働法であり、社会法についても幅広い研究を行いました。

生い立ちと学歴

第一高等学校を経て、東京帝国大学法学部に進学し、卒業後は同大学の副手として研究の道を歩み始めました。その後、国際労働機関（ILO）東京支局での勤務を経て、欧米へ留学し、さらに研究を深めました。

研究活動

1928年に九州帝国大学の助教授に就任し、1929年には教授に昇格しました。1943年から1945年まで法文学部長を務め、教育・研究活動に尽力しました。戦後、1949年には九州大学の第9代総長に就任し、大学運営にも貢献しました。1953年には日本学士院会員に選出され、学界におけるその功績が認められました。また、日本労働法学会の初代代表理事として、労働法研究の発展に大きく寄与しました。

1962年に九州大学を定年退官し、名誉[[教授]]となりました。

受賞・栄典

1968年には、長年の学術的貢献が認められ、勲一等瑞宝章を受章しました。

研究内容

専門分野は労働法であり、社会法に関する研究も行っていました。その研究は、戦後の労働法体系の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。特に、労働組合法や社会保障法に関する研究は、その後の法制度に大きな影響を与えました。

著書

主な著書として、『日本労働立法の発展』(1942年)、『労働法の主要問題』(1943年)、『労働組合法の解説 労働組合とはどんなものか』(1946年)、『社会法の基本問題 労働法・社会保障法・経済法の体系』(1968年)、『戦後労働法の二十年 評論と随想』(1969年)、『社会保障法の形成』(1970年)、『世界の中の労働法 評論と随想』(1971年)などがあります。これらの著書は、労働法、社会法の分野における重要な文献として、現在も高く評価されています。

共編著

また、『社会法綜説 [労働法]]・社会保障法・経済法』(1959年)、『労働協約の実務』(1960年)、『労働法大意』(1968年)、『全訂労働組合法 附・[[労働法]』(1984年)などの共編著も手掛け、共同研究を通じて学術的な発展にも寄与しました。

菊池勇夫に関する資料

菊池勇夫の研究業績に関する研究論文も多数発表されています。

山田晋「戦時体制下における菊池勇夫の社会事業法論：一九四〇年代初頭の二論文を読む」『修道法学』45-1, 2022年, 227-252頁
山田晋「菊池勇夫の社会保険法論：菊池勇夫「社會保險法の對象と本質」(一九四二年)を読む」『修道法学』39-2, 2017年, 33-58頁
石井保雄「菊池勇夫の「社会法」論：戦前・戦時期の業績を通じて考える」『獨協法学』91, 2013年, 67-180頁

参考資料

デジタル版日本人名大事典
* 九州大学教授菊池勇夫先生還暦記念論文集序「法政研究」1959

これらの資料を通じて、菊池勇夫の業績をより深く理解することができます。

菊池勇夫は、その学術的な貢献に加え、教育者としても多くの人材を育成し、日本の法学界の発展に大きく貢献した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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