菊池徹

菊池徹の生涯と業績

菊池徹（きくち とおる）は、1921年6月27日に兵庫県武庫郡鳴尾村（現・西宮市）に生まれました。彼は大阪府立北野中学校を卒業し、学生時代は登山部に所属して登山活動を行っていました。卒業後は浪人生活を経て、1946年に北海道大学理学部地質学鉱物学科を卒業します。大学を卒業後、父親が経営する会社の役員に就任しましたが、彼の専門知識が評価され、商工省の地質調査所に転職します。

南極探検隊への参加

1956年、菊池は第一次南極地域観測隊の隊員53名のうちの一人に選ばれました。1957年1月29日、彼は南極の東オングル島に上陸し、昭和基地の設営に貢献しました。菊池は11名の南極越冬隊員の一人として、1957年の冬に越冬活動に参加し、犬ぞりの世話を担当しました。彼は19匹のカラフト犬の世話をしながら、現地での様子をカラーフォトで記録しました。

菊池が撮影した写真は、現在でもインターネット上で見ることができ、多くの人々に南極の厳しい環境を伝えています。しかし、1958年2月、菊池は悪天候のため小型雪上車で宗谷に到着する際、犬を昭和基地に置いて帰国することになり、その決定は日本国内で多くの批判を生む結果となりました。タロとジロという二匹のカラフト犬が後に生存していたことが確認され、この出来事は更なる注目を集めました。その後、菊池は1959年に自身の体験をまとめた『南極の犬ぞり』を出版しました。

その後の活動

1963年に菊池は東北大学で理学博士号を取得し、1968年にカナダのバンクーバーに移住しました。彼は当地で鉱山資源調査の仕事に従事し、1981年には映画『南極物語』の制作に関わります。この映画では、菊池がモデルとされる「潮田暁」というキャラクターが登場し、高倉健が演じました。菊池は資金調達や撮影場所の移動提案するなど、映画の実現に尽力しましたが、彼の名前がフィクションに変更されたことに困惑していたと述べています。

著書と映像作品

菊池は数多くの著書を残しており、主な著作には『南極の犬ぞり』や『犬たちの南極』、『タロ・ジロは生きていた ドキュメントフォト・南極』などがあります。彼の記録は、南極地域の環境や動物たちの生態についての貴重な情報源となっています。また、2011年にはTBSで放送されたテレビドラマ『南極大陸』で、菊池がモデルとなったキャラクターが登場しました。

最後の時

菊池徹は2006年4月10日にカナダのバンクーバーで多臓器不全により死去しました。その一生は南極に捧げられ、多くの人々に影響を与えました。彼の業績は今もなお、多くの人々に語り継がれており、日本の南極探検の歴史において重要な人物として認識されています。

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