菊池神社 (菊池市)

菊池神社の概要

菊池神社は、熊本県菊池市に位置する神社で、南北朝時代に南朝方として活躍した菊池氏の3柱を主祭神として祀っています。菊池氏は、後醍醐天皇の倒幕運動に加わり、南北朝時代には九州における南朝の中心勢力として奮戦しました。この神社は、建武中興十五社の一つであり、かつては別格官幣社でした。現在は神社本庁の別表神社となっています。

祭神

主祭神は、菊池武時（12代当主）、武重（13代当主）、武光（15代当主）の親子3柱です。彼らは、南朝のために戦い、その忠義心は後世に語り継がれています。また、菊池氏の一族26柱も合わせて祀られています。

歴史

菊池神社の創建は、明治時代初期に遡ります。慶応4年（1868年）、熊本藩士の長岡護美が、菊池氏と加藤清正を祀る神社の創建を提唱したことがきっかけです。政府はこの提案を受け入れ、熊本藩に菊池氏の祭祀を命じました。その結果、菊池城址に菊池神社が建立されました。

明治3年（1870年）4月28日、菊池神社は鎮座祭を迎え、当初は菊池武時を主祭神とし、武重と武光を配祀神としていました。その後、明治6年（1873年）に郷社、明治8年（1875年）に県社へと昇格しましたが、楠木正成を祀る湊川神社が別格官幣社であることとの不公平さを訴えられ、明治11年（1878年）には別格官幣社に列せられました。この時、菊池氏に従って戦った一族や将士も合わせて祀られるようになりました。

大正12年（1923年）には、菊池武重と武光も主祭神に加えられ、現在の祭神構成となりました。昭和27年（1952年）には、宗教法人菊池神社として新たなスタートを切りました。

年表

1868年（慶応4年/明治元年）7月18日：太政官が熊本藩に菊池氏の祭祀を命じる。
1873年（明治6年）5月：郷社に列せられる。
1875年（明治8年）7月：県社に昇格。
1875年（明治8年）10月24日：白川県が別格官幣社への昇格を教部省に願い出る。
1878年（明治11年）1月10日：太政官が別格官幣社に昇格させる。菊池武重以下の将士を配祀するよう指示。
1878年（明治11年）1月31日：熊本県大書記官北垣国道が勅使代理として別格官幣社被列祭典を執行。
1878年（明治11年）6月3日：例祭日を5月5日に制定。
1879年（明治12年）10月30日：太政官が別格官幣社の中での菊池神社の順位を護王神社の次と定める。
1923年（大正12年）：菊池武重と武光を主祭神に加える。
1931年（昭和6年）11月12日：昭和天皇が県内での陸軍特別大演習中に参拝。
1952年（昭和27年）9月13日：宗教法人菊池神社となる。
2012年（平成24年）4月1日：熊本県の旧県民歌「菊池盡忠の歌」を奉納する集いが開催される。

社殿

本殿は三間社流造で、棟には千木と鰹木が置かれています。拝殿は桁行5間梁間3間の入母屋造平入で、正面中央に3間の向拝が付いています。どちらも屋根は銅板葺となっています。

摂末社

境内には、以下の摂社・末社があります。

摂社：城山神社（菊池武房、菊池重朝を祀る）
別宮：雲上宮（懐良親王、良成親王を祀る）
末社：稲荷神社（倉稲魂神を祀る）、生目神社（生目神を祀る）

文化財

菊池神社には、以下の重要文化財（国指定）が所蔵されています。

絹本著色伝菊池能運像
菊池神社文書 4巻（41通）

交通アクセス

熊本桜町バスターミナルから熊本電鉄バス菊池温泉行きに乗車し、終点「菊池温泉・市民広場前」で下車後、徒歩約11分。
JR九州豊肥本線肥後大津駅から九州産交バス山鹿温泉行きに乗車し、「菊池温泉・市民広場前」で下車。
九州自動車道植木インターチェンジから約14km。

境内施設

境内の菊池歴史館では、菊池千本槍をはじめとする菊池氏の歴史に関する貴重な資料が展示されています。

その他

菊池神社は、桜の名所としても知られており、春には多くの人々が美しい桜を観賞に訪れます。

参考文献

二六興信所編纂、山田米吉編『勤王事蹟別格官幣社精史』二六興信所、1935年
『太政類典』国立公文書館デジタル・アーカイブ
岡田米夫「神宮・神社創建史」、松山能夫・編『明治維新神道百年史』第2巻、神道文化会、1966年

関連図書

安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』神社新報社、1968年
白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』東京堂出版、1979年
鈴木喬『熊本の神社と寺院』熊本日日新聞社、1980年
角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典43 熊本県』角川書店、1987年

関連項目

建武中興十五社
菊池神社 (福岡市)

外部リンク

菊池神社について - 全国菊池の会
菊池神社 - 菊池観光協会
菊池神社 - 熊本県観光連盟

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