菊矢吉男

菊矢吉男について

菊矢吉男（きくや よしお）は、1915年8月31日に大阪府で生まれ、1990年12月27日に75歳でこの世を去ったプロ野球選手であり、後に高校野球指導者としても知られる人物です。彼は主に投手だけでなく、外野手や内野手としてもプレーを行い、さまざまなポジションでの幅広い技術を持ち合わせていました。また、彼には大阪タイガースやライオン軍で活躍した実弟、岡本一雄も存在します。

現役時代の足跡

菊矢は、大阪府立八尾中学校在籍時に外野手として第6回選抜中等学校野球大会に参加しました。しかし、若い頃からその剛球投手としての才能が際立つようになり、関西大学へ進学後、1936年に大阪タイガースに加入しました。最初は外野手でしたが、すぐに投手に転向しました。特に速球を武器にしていた彼は、巨人軍の沢村栄治を想定した打撃練習に「仮想沢村」として起用され、松木謙治郎による練習法も話題を呼びました。

1937年には大東京軍に移籍し、秋季にはエースとして13勝、防御率2.34という素晴らしい成績を収めました。その後も彼のキャリアは波乱に満ちており、1940年のシーズンには27敗という厳しい結果も経験しました。このころの彼は、1941年から1943年にかけて従軍し、戦後は朝日軍、ゴールドスターでプレーを続け、1946年に現役を引退しました。

引退後の活動

引退後、菊矢はアマチュア野球の指導者としての道を歩み始めました。1947年から1952年まで大阪府立菊水高等学校で、さらに1953年から1972年までは大阪府立富田林高等学校の野球部監督を務め、多くの選手を育て上げました。指導者としての彼の活動は、高校野球界に多大な影響を与えました。

特徴とエピソード

菊矢は、投手として球速はありましたが、制球力に問題を抱えていた選手でもありました。特に1939年には209四球を記録し、当時のシーズン与四球記録に名を刻みました。また、同年には14暴投を記録し、これは長らくプロ野球記録として君臨しました。

戦後の1940年3月30日、大東京軍との試合では、9回2死まで無安打に抑えたものの、最後に水原茂にヒットを許してしまいノーヒットノーランを逃しました。このことがプロ野球史上初の出来事であったことも、彼の名を歴史に刻む要因となりました。

特に興味深い記録として、1939年の4月19日の対南海軍戦では、先発投手と彼を合わせて17人の走者を出しながらも無得点に抑えるという珍記録を樹立しました。

菊矢吉男の生涯は、波乱の多い野球人生の中で、貴重な記録やエピソードを生み出し、彼の名は日本の野球史に残り続けるでしょう。

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