菖蒲塚古墳
菖蒲塚古墳について
菖蒲塚古墳は、新潟県新潟市西蒲区竹野町に位置する前方後円墳です。角田山の東麓、台地の先端部に築かれており、周辺は「越王（こしわ）」と呼ばれています。この古墳は、新潟県内でも最大級の規模を誇り、日本海側における最北端の柄鏡形古墳として知られています。
古墳の全長は約53メートル、後円部の直径は約33メートル、高さは約3メートルです。前方部は高さが約2メートルと、後円部よりも低い特徴があります。1930年（昭和5年）に国の史跡に指定されました。内部構造は不明ですが、石室は確認されておらず、木棺を直接埋葬したと考えられています。
歴史
この古墳に関する最も古い記録は、1812年（文化9年）に刊行された「北越奇談」に記載されています。この文献には、古墳が盗掘され、鏡が出土したことが記されています。この時出土したと伝えられる鼉龍鏡は、直径22.7センチメートルの仿製鏡で、古墳時代前期のものと推定され、現在は新潟県の有形文化財に指定されています。
伝承では、古墳には源頼政の妻である菖蒲御前が葬られているとされています。また、隣接する隼人塚古墳は、家臣の猪隼太の墓であると伝えられていますが、古墳の造成時期は菖蒲塚古墳と同時期と考えられています。
2002年から2003年にかけて、巻町教育委員会が古墳の範囲確認調査を実施しました。その結果、緩やかな傾斜を持つ台地の上に古墳全体の形を設計した後、周囲に溝を掘り、その際に出た土を盛り上げて築造されたことが判明しました。また、古墳の強度を高めるために、土質の異なる土を交互に盛るなどの工夫が施されていました。
経塚
古墳の墳丘上には、平安時代から室町時代にかけて経塚が営まれていました。経塚から出土した銅製経筒、陶製壺、銅鏡などの遺物は、「越後国菖蒲塚古墳経塚出土品」として、1962年（昭和37年）に国の重要文化財（考古資料）に指定されています。これらの出土品は、金仙寺に所蔵されています。
出土品
壺
古墳の溝から発見された壺は、古墳の上から転落したと考えられています。この壺の特徴から、古墳時代前期の後半に作られたことが明らかになりました。
銅鏡
江戸時代に出土したとされる鼉龍鏡は、直径23.7センチメートルで、新潟県内で最大級の鏡です。現在は新潟県の有形文化財に指定されており、東京国立博物館に寄託されています。
勾玉・管玉
勾玉（長さ2.3センチメートル、ヒスイ製1点）と碧玉製管玉（長さ1.7～3.4センチメートル、7点）は、古墳の後円部の埋葬室内から発見されました。これらは副葬品として納められていたと考えられています。国の重要文化財「越後国菖蒲塚古墳経塚出土品」の附指定を受けています。現在、新潟市歴史博物館に保管されています。
文化財指定
国の史跡
新潟県指定文化財
関連文化財
この出土品は、平安時代に菖蒲塚古墳上で営まれた経塚からの出土品で、以下のものが含まれます。
- 銅経筒 1口 - 賀應二年三月十一日在銘。
- 陶製壺 2口
- 銅鏡 残闕共 5面分
- 青白磁小壺 1口
- 青白磁盒子 1合
- - （附指定）
- 硬玉勾玉 1箇、碧玉管玉 7箇 - 菖蒲塚古墳出土。
関連情報
- - 近隣の古墳:
- 観音山古墳 (新潟市)
- - 関連寺院:
外部リンク
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