西蒲区

新潟市西蒲区

新潟市を構成する行政区の一つである西蒲区は、その名の通り、旧西蒲原郡に位置しています。角田山や多宝山といった山々、そして岩室温泉などの観光地が点在し、豊かな自然と歴史が共存するエリアです。広大な水田が広がる穀倉地帯であり、市内でも有数の農業地帯として知られています。

概要

西蒲区は、旧巻町、旧西川町、旧岩室村、旧潟東村、旧中之口村の大部分が合併して誕生しました。区役所は旧巻町役場の庁舎を利用しています。この地域は、旧味方村と旧月潟村の一部も含まれていますが、一部は西区や南区に編入されています。

区の面積は新潟市内で最も広く、市全体の約4分の1を占めています。しかし、人口密度は最も低く、2012年には6万人を割り込んでおり、人口は減少傾向にあります。区のイメージカラーは、田園と黄金色の稲穂を象徴する「ハーベストイエロー」です。この色は、豊かな自然と収穫を意味し、西蒲区の将来像「豊かな自然環境や観光資源に恵まれた、人と人が温かくふれあうまち」を表現しています。

地理

区内には、角田山、多宝山、弥彦山（山頂は弥彦村と長岡市に所在）などの山々がそびえ、西川、中ノ口川、矢川、新川などの河川が流れています。区の一部は佐渡弥彦米山国定公園に指定されており、豊かな自然環境が保全されています。

地域

西蒲区は、旧町村単位の5つの地区で構成されています。旧巻町は、巻、漆山、峰岡、松野尾、角田の5地区に細分化され、各地区で行政サービスが行われています。各地区は、それぞれ異なる特徴を持ち、独自の文化が育まれてきました。

巻地区

巻地区は、巻甲を中心に形成され、かつては西蒲原郡の行政と経済の中心地でした。現在も国や県の出先機関が置かれています。越後線や国道116号などの幹線道路が通り、周辺地域のベッドタウンとしても発展しています。近年は、郊外型店舗の進出が目覚ましく、商業の中心地となっています。一方で、巻本町通を中心とした商店街は、「まき鯛車商店街」として活性化に取り組んでいます。

漆山地区

漆山地区は、北陸自動車道の巻潟東インターチェンジがあり、企業団地が所在します。西蒲警察署もこの地区にあります。国道116号沿いには郊外型店舗が点在し、商業施設も充実しています。

峰岡地区

峰岡地区は、かつて三根山藩が置かれていた地域で、歴史的な名残をとどめています。

松野尾地区

松野尾地区は、松野尾などに集落があります。

角田地区

角田地区は、海岸部に漁港や海水浴場があります。越前浜は、市が取り組む移住モデル地区の指定を受けています。角海浜は、海岸浸食や原発計画の影響で廃村となっています。

西川地区

西川地区は、曽根を中心に市街地が形成され、県道374号沿いに商店街があります。区役所西川出張所や西川図書館などの公共施設が集まっています。越後曽根駅周辺には住宅地が広がっています。

岩室地区

岩室地区には、岩室駅がある和納と、温泉街として栄えた岩室温泉の二つの市街地があります。和納には新興住宅地も広がっています。海岸部には漁港を持つ間瀬があります。間瀬はかつて銅山としても栄えました。

潟東地区

潟東地区は農村部で、幹線道路沿いに集落が形成されています。地区内では酪農も行われています。

中之口地区

中之口地区も農村部で、県道9号と55号が交差する付近に公共施設が集積しています。中ノ口川沿いに集落が点在し、門田には美しいハザ並木が残されています。

住居表示

西蒲区では、合併時に住居表示が施行されておらず、地番が複雑なため、郵便物の誤配などの問題が生じています。和納地区では住居表示が実施されましたが、他の地区では具体的な予定はありません。

公園・海水浴場

丸小山公園、岩室湯のさと公園、上堰潟公園などの公園や、越前浜海水浴場、角田浜海水浴場などの海水浴場があり、市民の憩いの場となっています。

歴史

西蒲区は、2005年に旧町村が新潟市に編入され、2007年に政令指定都市移行に伴い設置されました。2007年には新潟県中越沖地震で震度5弱の揺れを観測しました。

行政機関

西蒲区役所をはじめ、各地区に出張所が設置されています。また、県の機関や国の機関も所在しています。

経済

第一次産業

農業が盛んで、区の約半分が水田です。米作りのほか、カキの生産も盛んで、特に峰岡地域は県内有数の産地です。漁業は、巻地区と岩室地区に漁港がありましたが、現在は統合されています。

第二次産業

製造業では、かつて角海浜で製造されていた毒消しが有名です。現在も燕市で少量ながら製造されています。また、区内ではワインの生産も盛んで、ワイナリーが集積しています。

区内に拠点を置く主な企業

ブルボン新潟工場、峰乃白梅酒造、エチゴビール本社工場など、食品関連の企業が多く立地しています。また、新潟ワコール縫製などの繊維製品メーカーも存在します。

治安

西蒲警察署が区内全域と弥彦村を管轄しています。区内には交番や駐在所が点在しています。

防災

新潟市西蒲消防署が区内の消防業務を担当しています。

社会基盤

電気は東北電力、都市ガスは蒲原ガスが供給しています。区内の市外局番は主に0256ですが、一部025となっています。郵便局は各地区に設置されています。水道は新潟市水道局が管理しています。ごみの分別方法は、2018年に統一されました。

医療

新潟西蒲メディカルセンター病院や西蒲中央病院などが区内の医療を支えています。救急指定病院が区内にないため、救急患者は近隣の市町村へ搬送されることがあります。

教育

区内には、新潟県立巻高等学校などの高等学校、巻西中学校などの中学校、小学校があります。また、西蒲高等特別支援学校などの特別支援学校も設置されています。社会教育施設として、郷土資料館や美術館、図書館などが整備されています。

文化・スポーツ

巻地区ではホッケーが盛んです。区内には、西川総合体育館などの運動施設や、巻文化会館などの文化施設があります。また、西蒲区PR映画三部作が制作され、国内外で評価されています。

観光

角田山、エチゴビール、カーブドッチ・ワイナリーなどの観光スポットがあり、岩室温泉などの温泉地も人気です。また、巻夏まつりなどの祭事や、菖蒲塚古墳などの旧跡も点在しています。

交通

鉄道

JR越後線が区内を通り、越後曽根駅、巻駅、岩室駅が利用できます。巻駅は区役所の最寄り駅です。上越新幹線も区内を通過していますが、駅は設置されていません。

バス

新潟交通観光バスやウエスト観光バスなどが路線バスを運行しています。コミュニティバスや観光周遊バスも運行されています。

高速バス

北陸自動車道巻潟東ICにバスストップがあり、県内外への高速バスが利用できます。

レンタサイクル

岩室観光施設「いわむろや」で電動アシスト自転車を借りることができます。

道路

北陸自動車道、国道116号、402号、460号、県道などが区内を通っています。

出身人物

書家の巻菱湖、横綱の羽黒山政司、社会奉仕活動家の本間俊平などが西蒲区の出身です。

西蒲区は、豊かな自然、歴史、文化が調和した魅力的な地域です。

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