華蔵台遺跡

華蔵台遺跡について

華蔵台遺跡（けしょうだいいせき）は、神奈川県横浜市の都筑区荏田南五丁目に位置し、かつては緑区に含まれていました。この遺跡は、縄文時代後期から晩期にかけての約4400年前から2300年前にかけて存在した環状集落の重要な遺跡の一つです。華蔵台遺跡は、港北ニュータウン遺跡群内で最も洽存した縄文時代の集落の一つとして知られています。

遺跡の概要

華蔵台遺跡は鶴見川と早渕川に挟まれた丘陵地帯の標高約45メートルの台地上にあります。この地域は、縄文時代後期の遺跡が存在する密集ゾーンであり、荏田1遺跡、荏田2遺跡、華蔵台南遺跡などが近隣にあります。これらの遺跡群はまとめて「荏田遺跡群」と呼ばれています。

遺跡の発掘調査は1965年から始まり、1970年代に2回行われました。この調査の結果、49軒の竪穴建物や12棟の掘立柱建物、115基の墓や貯蔵穴の跡が確認されました。さらに、古墳時代後期から奈良時代にかけての竪穴建物も数棟発見されています。

核家屋の存在

華蔵台遺跡の特徴的な建物は「核家屋」として知られています。これは港北ニュータウン区域の縄文集落で見られ、特に後期後半にあたる加曽利B1式期に、台地の付け根付近に大型の建物が建設されるようになりました。これらの建物には、数多くのピットがあり、長期間にわたって建て直しがなされていることが確認されています。考古学者の石井寛が提唱した「核家屋」は、集落内で特定の役割を果たす特殊な家屋であったとされています。墓域が近くに広がることから、村の長や祭祀的な役割を担っていた可能性が考えられています。

華蔵台遺跡の核家屋、特に16号建物は、台地の付け根に位置し、10回以上の建て直しがあったことが報告されています。このような核家屋は都筑区内の他の遺跡でも見つかっています。

縄文時代末期の集落

華蔵台遺跡は、縄文時代中期の温暖な時期に、周辺に大規模な環状集落が存在していたことから、その後の寒冷期の影響を受けつつも存続した稀有な遺跡です。特に華蔵台遺跡は、縄文時代晩期中頃まで生き残り、約2700年前にはその運命を閉じています。遺跡内の第10号竪穴建物は、横浜市で確認されている縄文時代の建物としては最後のものとされています。

参考文献と脚注

華蔵台遺跡についての詳細な調査は、横浜市埋蔵文化財センターや考古学に関する学術書に記されており、遺跡の意義や研究成果が広く共有されています。これにより、華蔵台遺跡は日本の歴史的遺産の一部として、その重要性が再評価されています。

もう一度検索