華麗なる誘拐

華麗なる誘拐

西村京太郎の推理小説『華麗なる誘拐』は、1977年に発表された左文字進シリーズの第2作であり、作者の代表作の一つ。本作は、大胆な誘拐予告と連続殺人事件が絡み合う、スケールの大きなミステリーとして評価されています。

概要

本作は、前作『消えた巨人軍』に続く左文字進シリーズの作品で、「誘拐ミステリー」として展開されます。誘拐ミステリーとして必要な要素として、佐々木敦は「誰を誘拐するか」「どうやって誘拐するか」「身代金の受け渡し方法」「人質の解放方法」の4点を挙げています。本作は、これらの要素をクリアしつつ、読者を飽きさせない展開が魅力です。綾辻行人からは「スケールの大きな誘拐もの」、山前譲からは「現実の事件を予見した」と評されています。

あらすじ

探偵・左文字進は、新宿の事務所で妻の史子とくつろいでいたところ、喫茶店で無差別殺人事件に遭遇します。同時期、総理大臣官邸には「ブルーライオンズ」と名乗るグループから、国民1億2千万人を誘拐したという脅迫電話が入ります。身代金は5000億円。要求を拒否すれば、人質を殺害するという予告でした。当初はいたずらとされたものの、喫茶店での殺人事件が発生したことで、事態は一変。警察は左文字に捜査協力を要請します。

ブルーライオンズは、予告通りに殺人を実行し、さらに旅客機を爆破するという大胆な行動に出ます。左文字は、事件の真相を突き止めるべく、捜査を開始します。

主な登場人物

左文字進: 新宿に事務所を構える私立探偵。アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、犯罪心理学に精通している。
左文字史子: 左文字の妻であり、秘書。前作の事件で左文字と知り合い結婚。
矢部警部: 警視庁捜査一課の警部。左文字とは旧知の仲。
渡辺秘書官: 首相官邸の秘書官。
柳沼博士: 日本英才教育センターの理事。
野上知也: 事件の首謀者。弁護士。
牧野英公: 事件の実行犯の一人。
双葉卓江: 事件の実行犯の一人。
串田順一郎: 事件の実行犯の一人。

書誌情報

西村京太郎 『華麗なる誘拐』 河出文庫、2020年7月20日発売、ISBN 978-4-309-41756-1

映画化

2004年には『恋人はスナイパー 劇場版』として映画化されました。

その他

本作は、グリコ・森永事件を想起させるとも言われています。大胆な犯行予告と、それを実行する犯人グループの行動は、読者に強い印象を与えます。

『華麗なる誘拐』 河出文庫 - 河出書房新社

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