菱潟大橋

菱潟大橋（ひしがたおおはし）

新潟県東蒲原郡阿賀町豊実に位置し、阿賀野川に架かる国道459号の橋梁、菱潟大橋は、全長262.16メートルの中路式ローゼ橋です。

概要

菱潟大橋は、新潟県で初めて建設された中路式ローゼ橋であり、建設当時は県内で最長の支間長180メートルを誇っていました。豪雪地帯という立地条件から、橋の上弦材や横構には斜度が設けられた雪覆いが設置されています。特筆すべきは、橋の建設に際し、右岸側の菱潟地区への陸路が存在しなかったため、資材や建設機器は水上輸送によって搬入された点です。菱潟大橋の完成によって、長年陸の孤島だった菱潟地区に陸路が開かれました。

構造

形式: 鋼3径間連続中路式ローゼ橋+単純活荷重合成鈑桁橋
活荷重: 2等橋 (TL-14)
橋長: 262.160 m
支間割: 18.633 m + (30.000 m + 180.000 m + 30.000 m)
幅員:
総幅員: 9.800 m
有効幅員: 8.000 m
車道: 6.000 m
歩道: 両側1.000 m
アーチ高: 26.000 m
床版: 鉄筋コンクリート
総鋼重: 1,004.177 t
基礎: 直接基礎
施工: 横河橋梁製作所
架設工法: ケーブルエレクション工法

歴史的背景

菱潟大橋が建設される以前、豊実地域は阿賀野川と山々に挟まれた地形のため、交通の便が非常に悪く、住民は主に磐越西線を利用していました。特に菱潟地区は陸路が全く存在せず、町営の渡船が唯一の交通手段でした。この状況を打開するため、一般県道日出谷停車場宝坂線の鹿瀬町豊実地内の島新田 - 離石間の道路改良事業の一環として、阿賀野川に3つの橋を架ける計画が立案されました。その3橋とは、阿賀野川の上流側から順に豊実1号橋（徳石大橋）、豊実2号橋（船渡大橋）、そして豊実3号橋（菱潟大橋）です。菱潟大橋は1980年（昭和55年）に竣工し、その後、船渡大橋の完成をもって道路改良事業が完了し、全区間で自動車の通行が可能となり、地域住民の生活を大きく改善するとともに、観光振興にも寄与しました。

1993年（平成5年）4月1日、菱潟大橋は国道459号に指定され、現在に至ります。

まとめ

菱潟大橋は、豪雪地帯における橋梁建設の技術的な挑戦を克服し、地域の交通インフラを飛躍的に向上させた重要な構造物です。その完成は、菱潟地区をはじめとする阿賀町の発展に大きく貢献しました。

参考資料

新潟県新潟地域振興局
新潟県新潟地域振興局津川地区振興事務所（橋梁管理者）
国土交通省北陸地方整備局阿賀野川河川事務所 - 空から見た阿賀野川
* 阿賀野川中流域 41.豊実ダム

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