萊の滅亡

萊の滅亡（らいのめつぼう）

萊の滅亡は、斉が萊を滅ぼした戦いであり、その歴史的背景と経緯は非常に興味深いものです。紀元前11世紀、周王朝の武王が殷を打倒した際、功績を挙げた呂尚（後の太公望）は営丘に封じられ、ここを基盤に国を興しました。これが斉の始まりです。彼の治世が始まるとすぐに、萊との間で戦争が勃発します。

紀元前602年、斉と魯の連合軍が萊に攻撃を仕掛けました。その年の秋には、さらに魯が独自に萊に侵攻しました。続いて紀元前600年には、斉が再び萊に攻め込むなど、戦闘は続きました。この頃、戦局は斉の優位に傾いていました。

しかし、歴史の流れは簡単ではなく、紀元前571年の春に、斉が再度萊への攻撃を計画しましたが、斉の大臣である夙沙衛が萊の大臣正輿子から賄賂を受け取ったことで、攻撃は失敗に終わります。同年夏、斉の霊公が萊の君主を葬儀に招くも、彼は出席しませんでした。これにより斉は不満を抱き、晏弱を派遣して萊に圧力をかけるため、東陽の築城を開始しました。

紀元前568年、晏弱は東陽の築城を完成させ、さらに萊への攻撃を強化します。そして同年3月15日には、萊の国都を包囲しました。この時期、萊は連戦連勝の斉に対抗できるかどうかが問われる状況にありました。

紀元前567年の2月19日、萊軍は反乱者王湫と正輿子、そして萊国の棠邑などから出動し、斉軍に対抗しましたが、惨敗を喫しました。3月3日、斉はついに萊の国都を占領し、萊の君主である共公は棠邑に逃げ込みました。さらに、正輿子と王湫も別々に逃亡しましたが、最終的には莒の人々に殺されることになります。

萊の国都を制圧した後、晏弱は共公のいる棠邑を包囲し、11月7日にはこの地も占領しました。共公は再び逃げ出し、さらなる逃避行を余儀なくされました。この一連の戦闘によって、ついに萊はその幕を閉じることとなり、紀元前567年に滅亡したのです。

萊の滅亡の背後には、戦略的な同盟関係や内部の裏切り、指導者層の腐敗といった様々な要因が絡んでいます。この事件は、当時の国家間の力関係や権力闘争の重要な一例として、歴史に名を刻むこととなりました。

もう一度検索